＜世界の中心、ゲートピア。かつては荒廃が続くばかりの魔境だったと言われているけれどある時、天空から女神が舞い降り
巨大な門を出現させたらしい。そして各地には大小様々な門が出現した。
人々は門の中に世界を維持する奇跡のエネルギー、キラクリが存在することを知りこぞって集め始めた。
そうして世界は復興し、都市の各地には大小様々な企業や多数の冒険者ギルドが設立されることとなった＞

「実は私昔から…」

（この展開は！）

「昔からミナトのこと…社長に向いてると思ってたの！
お願いミナト、キボウカンパニーの社長になって！」

「え～～～？？？」

「まずはオフィスに行きましょう。詳しい話はそこでします」

「ミナトのお父さんのことなのですがオフィスにも手紙が残されてました。
このまま社長が不在では確実に会社は倒産します」

「はい社長、スケジュール通り15時に帰社しました」

「懐かしいなぁ、子供の頃来て以来だ」
「既に私物は片付けられていました」

「本当に大型門に向かったんだ…」

「前社長の目的はともかく今我社は父さんの危機に瀕しています。
ですからミナト社長には頑張っていただかないと」

「まだやるって決めたわけじゃ…」

「確か今は無職でしたよね？ニートで時間を持て余しているんですよね？」

「それは次の就職への充電期間というか…」

「うちは完全なホワイトとは言えませんが限りなく白に近いグレー、オフホワイトです！
というわけでこの書類に記載して正式に先代の後を継いでいただきたいんです！」

「社長って実際何をしていいかわからないし…」

「正座して3回は見てくださいね」

「では、皆さんを紹介します」

「こちらは僧侶のマコトくん。17歳の最年少ですが冒険者ランクは4つ星。回復は彼にお任せください」

「よろしくおねがいします社長」
「こちらこそ…それにしてもすごく大きなリュックだね…」

『ちっ、うるせーですね、荷物呼ばわりするとはぶちころすでありますよ』

「な、何かいるの？」
「いえ、ただのリュックです」

「それから戦士のアカリさん。頼れるマコトくんのおねーさんです。
そしてベテラン社員のガイドさん。一番古くから働いてくれていて…事務や経理を担当してくれてます。
ここに私を加えた4人がキボウカンパニーの社員です。社長の経営方針に従い精一杯会社に尽くします」

「何度も言うけど…」

「さて紹介も終わりましたしさっそくダンジョンに行きましょう！」
「これから？」

「新社長の就任に当たっては適性試験を通過し株主である執行役員12名の承認を得る必要がありまして」

「ボス魔獣を倒したら受領印をおしてください。自動的に転送され、報酬が得られます」

「社長、冒険者免許は持ってるんだよね？ランクは？」
「二つ星…かな？」
「二つ星！社長なのに！」
「全七つ星中の下から二番目ですね」
「やっぱり頼りないなあ…」

「僕の名前はトーマス。僕からも依頼って受けてもらえますか？」

「ちなみに依頼ってどんな内容？」
「ちょっと…今は試験中でしょ？」

「たとえどんな小さな依頼でも誰かが必要としてくれる限り応えてあげたいなって」
「そーいや、先代も同じこと言ってたわね」

「私自身先代に拾われた身ですし…」

「僕、シルメの花が欲しいんだ」

「お姉ちゃんが明日誕生日なんだ、いつも親代わりに面倒を見てもらっているから何かお礼がしたくて」

「あたしにまかせて」

「なんでシルメなんだろう」
「日頃の愛情への感謝、シルメの花言葉よ」

「どうぞ。こちらが依頼品です」

「倒したら報酬を受け取れますよ」

「社長！戦闘の指示を！」

「頑張って個々のメンバーが力を合わせてチームワークを大事に。」

（なんで攻撃が当たらないんだ？後ろに目が付いてるわけないのに…
あんなに顔は怖いのに尻尾はもふもふ…。もしかしてあれが？？）

「就任試験合格書付のキラクリです」

「私…好きなんです。社員さんみんなのことが。だからこの場所をなくしたくなくて」