「なんなんだよ…。なんなんだよお前！？」

「あれは魔女だよ。人の心を内から喰らう怪物さ。君には魔女と戦う力が眠っている。僕はそれを引き出してあげられるよ。さぁ、君はどうしたい？」

（悪いないろは。俺は魔女だけは。魔女だけは絶対に…）

「マギウスの翼、白羽・天音つくよにございます」
「天音つかさだよ」

「マギウスのお三方の目的を遂行するため集団なのでございます」
「彼女たちの翼となる集団なんだよ」
「マギウス？」
「魔法少女の救済という崇高な目的を掲げる方々でございます」

「よぉ、また新入りか？」

やちよ「フェリシアにGPS発信機を付けておいたの。アプリで場所が分かるわ。ほら」
いろは「え！？」

「このくらい当然よ。あの子、信頼できないもの。どんな事情があろうと彼女が信頼を失っていることに変わりはないわ」

「どうやらここから地下に入ったみたいね」

「私もこいつらとはさっき会ったばっかだよ。私が居たところの魔女も随分減っちゃってさ。多分それもこいつらのせいだよ。だったらこっちに着くのは当然だろ？このまま魔女不足で食い詰めるなんて私はごめんだね。グリーフシードに食い物、寝るところ。そいつが手に入るんならなんだっていいじゃん！」
「お、おう！そうだな！…俺は言われた。俺が死んでなく家族はいない」
「食うかい？」

「うっかり飲み忘れて24の幸運を使い切っちゃったら一気に不幸が押し寄せるから気を付けてね！」

「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだ。どっちか一つなんて都合が良すぎる。こんな胡散臭い水で幸せになるよりグリーフシードが稼げりゃ私は十分だよ！」

「この神浜ではグリーフシードは必要ないのでございます」
「はぁ？」

「つくよ様、つかさ様……」

「まさかこの場所がバレちゃうなんて」

「ウワサの化け物はあなたたちの仕業だったんですか？なんでこんな事…」

「うちらが奏でる今宵の虚栄」
「酔いしれてくださいませ」

「あなた達、魔女！？」
「マジでいかれてんな！」
「御心配には及びません。魔力で操られております」
「自分のやっていることが分かってるの！？」
「ごめんね。でもうちらの計画が達成されれば魔女が消え去るのは本当だよ」

「そちらの脆弱そうな子はよろしくお願いします」

「フェリシアちゃん！！」

「俺は！全部の魔女を倒さねーといけないんだ！父ちゃんと母ちゃんを殺した魔女はコイツかもしれないんだ！だから全部潰す！ウワサも不幸も全部ぶっ壊す！！」

「悪いんだけどさ。私も抜けさせてもらおうかな～」
「！？　あなたまで何言いだすの！」
「あんたらの言ってることってぼんやりして信用できないんだよね」

杏子「ウワサってやつが目当てなんでしょう？先に行きなよ」
いろは「でも。…ありがとうございます！」

「あれを壊せばいいの？」

「魔女は一匹残らずぶっ潰す…」
「なら考えな。何のための魔法少女だって話」
「そんなの分かんねーよ！」
「死んじゃった誰かの為とか、ぶっ殺したいやつとかじゃなくてさ、自分のための魔法少女だろ。命かけてる時くらい自分の為でいいんだよ！」

鶴乃「もうやめたほうが良いよ。あなたたちのソウルジェム、濁ってる…」
つくよ「好都合でございます…皆様はとても幸運でございます」
つかさ「なんたって神浜が解放の場であることをその目で見られるんだからね」

（カウントダウン、あといくつ残ってるんだろう。私、あの時どうしたんだっけ？）

（私、あの時どうしたんだっけ…？そうだ。ソウルジェムから何かが…）

「ひっ！！」

「やったよ、私一人でも倒せた…」

鶴乃「いろはちゃんがやったんだ！」
つくよ「どうしようでございます」
つかさ「このままだとうちら怒られちゃう！」

「これは一体何事です？」

みふゆ「今の私はマギウスの翼…。口寄せ神社まで私を捜しに来てくれたそうですね。親友としてみょうりに尽きます」
やちよ「あなたが残した神浜ウワサファイルのおかげよ」
みふゆ「やっちゃんはウワサなんて信じてなかったのに、不思議なものですね」
やちよ「どうして…どうして私を置いて行ってしまったの！？」
みふゆ「それは違いますよ。置いていかれたのはきっと――」

「私たちは本気で魔法少女の救済を目指しているんです」
「できない相談ね…。魔法少女としての覚悟は前から決めていたはずでしょう？」
「やっちゃんは強いですね…。私はこの運命からの解放を夢見てしまった」
「行くかせないわ！親友だからこそ力づくでもあなたを止める！待って！！」

「フェリシアちゃん、もう帰っちゃう？」
「今日寝るところ探さねーと…」

「それなら私の家に来て！私もすぐ引っ越さなきゃなんだけど、嫌、かな？」
「嫌じゃないけど…お前の世話にならなくても…」
「私がお世話になりたいの！私、弱いから。魔女と戦う時にフェリシアちゃんがいてくれたら」

鶴乃「まずは魔女を見ても暴れださないように修行しよう！」
やちよ「我慢できることも強さのうちよ」
いろは「我慢するときは深呼吸が良いって…」
フェリシア「…さい…！我慢我慢我慢うっせーんだよ！魔女が悪いんだろ！魔女がみんな俺からとっていったんじゃねーか！なんで俺だけ我慢しなきゃいけねーんだよ！？魔女さえいなきゃ…！魔女が居なかったら…！うわああああああああん！」

「勝手なこと言ってごめんね…」

「でも私、一緒に帰りたい。じゃないと明日も明後日もどこかでフェリシアちゃんが寒かったり、お腹がすいてたり何か我慢してるかもって。そんなの嫌だから」
「いろは…」
「今日だけでもいいから。ね？」

「——うん。元気だよ。今はちょっと友達の家で…。うん。え？下宿先決まったの？——え！？」

「びっくりしました。まさか下宿先がみかづき荘だなんて。これもフクロウ幸運水のおかげなのかな」
「ひょっとしたら偶然じゃないかもしれないわね」
「ちょっとだけ心配してたけど、やちよさんもフェリシアちゃんと仲良くなってて嬉しいです！」
「はぁ…」

「みかづき荘にようこそ、環さん」

どうか助けてください
あなたは魔法少女ですか？