「それは往年の！」

「過去５０年の人気アイドルの特徴を集計、分析し、最適解を導き出した」

「これなら95％の確率で人の記憶に残る写真になるはずだ」

「OK!」

「ま、いいんですけど」

「３・２・１」

「「「S・E・M！！！」」」

「だはははは！」

「だから反対したのに…」

「ええーー絶対いけると思ったんすよ」
「俺も結構自信あったんだけど」
「写真撮るの楽しいね」
「あ、ああ…」

「ちょっといまいち…かなぁ」

「君の格好のせいだ」

「おまえだって履歴書の写真みたいじゃねーか」
「表情に問題があることは認める。衣装は問題ないだろ」

「これが皆さんの見せたい姿ですか」

「新人さんたちにも期待しちゃいますね」
「でしょー？」

「Beit（バイト）はある商店街で大人気だった子たちをスカウトしたんですけど、以前から仲のいいアルバイト仲間さんでしたし」

「そういえば、ピエール君の後ろにいつも黒服の人がいますよね。」
「ああ、彼らはSPです。」

「SP?」
「ええ、ピエールは某国の王子様なんで。」
「はぁ…」

「元高校教師のS.E.M（セム）、彼らは思うところあって揃って学校をやめアイドルになる道を選びました。」
「おお、気になりますね」

「High×Joker（ハイ ジョーカー）の５人は同じ高校の軽音部で楽曲は全部自分たちで作っているんですよ」
「なるほど、楽しみですね！」

「そしてDRAMATIC STARS（ドラマチック スターズ）は元パイロット、元弁護士、それに元外科医」

「高気圧の影響で進路を変えた今回の台風は勢力を強め、各地に被害を出しながら北上しています」

「もうすぐ避難所です、がんばって」

「危険です、屋内に避難を」

「台風はこっちに影響はないって話だったけど」
「関東は通過しないそうですよ。でもどうもメインスタッフさんたちが」

「どうです？状況は？」

「高速道路は現在路地損傷のため、通行止めです」

「復旧の見通しは？」
「まだめどが立っていない状況です。お急ぎでしょうが安全運転を」

「てなわけだ。下道も渋滞がひどい。いい状況とは言えないな。」

「今いるスタッフは予定の半分ほどです。機材が揃っていてもメインスタッフがいないとなると多少の押しではすまなくなります」

「これだけバラエティに富んだ事務所はなかなかないでしょうね」
「でしょう？」

「のんびりしてていいのかい？」
「あ、社長」

「大丈夫ですよ、時間なら…」

「その時計、昨日から止まってるんだが」

「え！」

「用意できたユニットから撮っていきましょうか」

「桜庭くん、もうちょい笑顔で」

「はい…」

「薫さんリラックスリラックス」

「そうそう、特別な衣装でどっこいしょーってな」

「アイドルといえばジャージ」

「笑顔」

「決めポーズ」

「…ってアイドル雑誌でよく見たんだ」
「そっすか…」
「みのりすごい！」