前回のあらすじ
内容をカンタンに説明すると…
- マインに兄弟が出来た。絵本作りの為、マインは絵が得意なヴィルマを側仕えに所望する。同時にフェルディナンドの勧めでロジーナという女性もそば仕えにし、貴族のたしなみと音楽の教養を身に着けることになった。
- フェシュピールの見事な腕前故、以前の主に重宝されていたロジーナはマインやほかの側仕えとの常識にズレが生じていた。一時は傍仕えから外す提案もされたが、マインの頑張りと細やかな説明、そしてロジーナの歩み寄りによって契約は続行され、マインのフェシュピールの腕前はフェルディナンドも認める域に達する。
- 本格的に絵本作りを開始したマイン!ヴィルマの絵をもとに版画を制作するが理想のクオリティには程遠い出来となる。試行錯誤を重ねる一方、ヴィルマは新たな挑戦をしてトラウマを乗り越えようとしていた。果たして絵本は完成するのか?!
【本好きの下剋上 第二部 22話 アニメ感想】ヴィルマと子供用聖典
本づくり開始!
「昔々、あるところに3匹の子豚がいました」
マインが孤児院の子供たちに聞かせたのは「3匹の子豚」の物語。
「どう?面白かった?」
「「・・・・・・・」」
「よく分かりませんでした」
「え?」
神殿の中で育った彼らには子豚や狼が分からない。
「見たことがないものを描くのは難しいです」
絵を担当するヴィルマの意見。
「とても参考になりました。また別のお話を考えてきますね」
改善点はまだまだあるみたい。
「ヴィルマ、ロジーナから聞きました、その…」
殿方に恐怖を抱いている事について。
「申し訳ございません、隠していたわけではないのですが…」
「良いのですよ。それよりこれからヴィルマのところに来るときはフランではなくロジーナを伴う事にしましたから、安心してくださいね」
「それで今日は…。そば仕えになる時もマイン様は私の意思を尊重してくださいました。本当にありがとう存じます」
ヴィルマの為にもトラウマを少しずつ癒していけるといいのですが。
「神殿!ヴィルマに書いてもらう絵本!子供用の聖典が良いかも!そうしたら文字も覚えられるし一石二鳥だね!」
マインは閃いた!
まず孤児院の子供たちの人数分を作ることにしました。
印刷は木版画を採用。図工の授業でやるやつだ!
他に必要なのはインクと、板は工房に発注済みです。
「油性のインクが欲しいんですけど羊皮紙用じゃないインクはありますか?」
「インクはインクだ。一つしかない」
えぇ…(;´Д`)
「やっぱりインクも自分で作るしかないのかな、インクになりそうなものって――」
「おいルッツ、マインは何を言ってるんだ?」
「考えてることが勝手に口から洩れてるだけです」
「いつ終わる?レストランの話がしたいんだが…」
「答えが出るまでこのままです」
マインに振り回されるのはいつもの事(笑)
「とりあえず片っ端から作って一番よくできたものを使おう!ね、ルッツ」
「俺!?」
「”私が考えたものを?”」
「”俺が作る”」
木版画に挑戦!
マイン達は他の人の協力も得て煤集めを開始します。
「君は一体何を企んでいる。今年はずいぶん早くから灰色神官が総出で暖炉や煙突の掃除をしている。君の仕業であろう」
「人聞きの悪いことをおっしゃらないでくださいませ!植物紙に合うインクを作るために煤を集めてくれているのです」
フェルディナンドの忠告。派手なことをして神殿長を刺激しない様に、と。
神官長がいなかったらマインはきっと無自覚のまま神殿長を刺激しまくり大変なことになっていただろうな…(;´∀`)
「どんな絵本を作るのか決まったら教えなさい。君のすることは予想がつかぬ。心臓に悪い」
「それならもう決まってます、子供用の聖典絵本を作ります」
文字や文章を覚えるのにも役立つ。フェルディナンドの許可はあっさり下ります。
(ヴィルマの下絵が描けたら、鏡文字で本文を書き、それをルッツのところのジークお兄ちゃんに掘ってもらった。煤に油を混ぜてよく練ればインクの出来上がり。ばれんは私の自作だ)
「わーっ!!絵になってる!」
「真っ黒だったのに白い線がある!」
孤児院の子供たちは大はしゃぎしていましたが。
「うーん微妙。絵本には向かないよね…」
「字もちょっと読みにくいしな」
特にヴィルマの下絵は繊細で素晴らしい出来だったのですが、版画にするとその良さが潰れていました。
「本当にすごかったね!」
「板にインクを塗ったらヴィルマの絵が出てきたんだよ!」
「この間、マイン様に頼まれて板に絵を描いたけど…、それかしら?」
「うん、すっごく綺麗だったよ。今度はヴィルマも一緒に行こう!」
子供に手首を掴まれたヴィルマ。瞬間、トラウマがフラッシュバックして子供を突き飛ばしてしまいました。
「うわあああああん!!!」
「ご、ごめんなさい、私…!本当にごめんなさい…!」
子供はびっくりしたのだと思います。それからヴィルマは元気が無くなってしまいました。
マイン(私は一度、聖典絵本作りを辞めて赤ちゃんの絵本を作った。どんな絵本にするかは決まっていたからあとは道具を注文するだけ)
〇と△を使った簡単な顔。はっきりくっきりした絵が功を奏し、木版画は大成功です。
「ヴィルマの絵はとても繊細で、木版画ではこんな感じの仕上がりになってしまうのです…。そこで別の方法で作れないかと思って考えてみたのが、こちらです。ヴィルマの絵を参考に、白と黒だけで髪を切った場合の見本として作ってみました。こちらの方が板を掘るより簡単に作れますし雰囲気も残せると思うのです」
「…この方法で作ってみます!新しい手法でどこまでできるか、私も挑戦したいのです!」
「ヴィルマ、無理はしないでください」
「はい!」
ヴィルマは何かを決心した様子。
「マイン様、お話があるのです」
「ヴィルマの様子がおかしい?」
「はい、この間も工房に行こうって言ったらいやだって言われて」
「二人ともヴィルマの事が大好きなのですね。時が解決してくれるのを待ちましょう…」
「ほかに方法は無いのですか?」
「そうですね…。みんなの頑張りを見たら外に出る気になるかもしれませんね」
マインは何者なのか?
ヴィルマに絵を描いてもらっている間、神官長に聖典絵本の内容をチェックしてもらいました。
「――マイン、君は一体どこでこのような教育を受けた?」
「おっしゃる意味が」
「文章が整い過ぎている。難しい言い回しが多い聖典を、子供でも分かるような簡潔な文に直すというのは簡単な事ではない。少なくとも、初めて私が聖典を読んでやった時には単語さえおぼつかなかった者にできることだとは思えん。まるで別の言葉で教育を受けてきて、ここで使う文字を知らなかった他国の者のようではないか」
す、鋭い…!
「私が行った調査の結果も不審な点は無かったからな。だが解せぬ」
だからこそ解せない、マインの知識の源。
「前にも、同じようなことを言われたことがあります」
『なぁマイン、あんた一体何者なんだい?一体どこでこんなレシピを手に入れた』
「それに君は何と答えた?」
「夢の中、と…」
「夢の中?」
「はい」
「ここではない、二度と行く事のできない夢のようなところ。と答えました」
普通の感覚と常識では、その説明が限界でした。
「神官長は信じてくれますか?」
「――。荒唐無稽な話だが、私の予測は間違っていない事になる。君は隠し事も嘘も下手だからな。だが だからこそ混乱する。考える時間が必要だ」
完成!
そして必要な道具をそろえているうちにヴィルマの絵が完成しました。
「わぁ…!素敵ですヴィルマ!すぐ印刷してみましょう!」
「あの、マイン様」
「?」
「私も、工房にご一緒させて頂いてよろしいでしょうか。新しい手法に挑戦したら少し自信が尽きました。今なら…。今なら外に出られそうな気がするのです!マイン様が一緒なら心強いのですけれど…」
「私、絶対にヴィルマに殿方を近づけません!!」
主従の役割が逆になってます(笑)
そしてやって来た印刷所には大勢の殿方がいました。
「ヴィルマ、大丈夫?」
「はい……」
「あ、ヴィルマだ!」
「ヴィルマが来たー!」
出迎えてくれた子供たちの助けもあって。
ヴィルマ「みんなが綺麗だと言っていた印刷を。私にも見せてください」
「とても、とても素晴らしいです」
絵の魅力と雰囲気はそのままに、しかし格段に見やすくなりました。子供用の聖典にはこちらの方が合っているように思えます。
「マイン様。私、次の絵を描いて参ります!」
「えぇ。お願いね」
それからはヴィルマの絵が完成するたびに印刷し、やがて本と呼べる厚みに達します。
「トゥーリ!見てみて」
「素敵!」
「綴じたら完成なの。手伝って!トゥーリの腕が必要なの!」
慣れた様子で糸を通すトゥーリ。最後に糸を切って…。
「ルッツとトゥーリのおかげだよ!ありがとう!」
夢に見た本がようやく完成!ここまで長かった…!
「まだ一冊だ。呼んでも読んでも終わらないくらい、いっぱい本を作るんだ」
「そう!図書館が必要になるくらい!はぁ~、インクの匂いだぁ~~~~っ」
「「あははは」」
紙書籍オタクのリアクションだよ(笑)
あの一冊にはたくさんの人の力が結集されてるんですよね…。
最後にトゥーリが綴じる展開も胸熱だった。(インクの匂いも込みで)やっぱり紙の本って良いな!
絵本作りを通してヴィルマの心も救済されていくのが嬉しかったです。
神官長はマインが前世の記憶持ちだと勘づいているのかな?第1話の語りにつながるシーンに近づいてる感じがします。
マインが崇拝するグーテンベルクさんの活版印刷機もいずれは実現したいですね。
ベンノ化していくルッツからも目が離せません(笑)