「待たんかい！何手柄一人占めしとんのや！」

「あのウィルス砲作ったんは、このくろごま勝男博士じゃろうがー！」

「わしがあれ作るのにどれだけ苦労したか！のう助手たちよ」

「ええ、あに…博士！そりゃもう大変でしたわ！」

「どのへんじゃ、どのへんが大変だったか具体的に言うたれや」

「とにかく足し算したり引き算したりそりゃ大変でした！」

「あほか！足し算引き算であないなもんが作れるか！掛け算もしたっちゅーねん」

（どういうことだ…）

「あれを作ったのはそのじじいじゃ…」

「からくりは女性と同じです」

「繊細に扱わなければすぐに壊れてしまう」

「チンパンジーにもがさつな老人にもあのからくりは作れない」

「だがこの狂死郎博士のテレンテグラにかかればからくりも女性もいちころです」

「からくりなのはお前の顔面だけやろ！この整形モンスターが！」

「連れていくなら私にしなさい。ただしあなたたちの星の女性が皆私の振りまくウィルスの虜になっても責任は取りません」
「だまっとれ！わしかてウィルスなら仰山もっとるで！」
「あなたのはただの性病でしょう」
「誰がいんきんや！」
「兄貴！誰もいんきんなんて特定してません！」

「歌舞伎町の皆さん、帰ってきましたよ。この町の王が。」

「ただいま～～～！兄貴！」

「ぴらこさん！」

「そうか…お前たち春雨の華蛇をやった連中か。地球で組織ごと潰されたと聞いていたが」

「こんなところで同胞の仇討ができるとはな」

「さがってろい、ぴらりん」
「いいえ、じろちょん。こいつは私の客です」

「私は泥水ぴら子。皆がくれたこの名にかけてこの故郷、仁義を通させていただきやす」

「ぴら子さん…」

「そうかい、ならば何もいうめぇ」

「よ～く聞け！てめ～ら！この娘に指一本でも触れたら…」

「ぶち殺させていただきやす」
「こっち？敵あっちだ！どんな仁義通そうとしてんだてめーは！」

「娘に妙に懐かれてるシャバ造はぶち殺させていただきやす！」
「だからそのピンポイント仁義やめろ！」

「あんちゃん…侍に同じ技は通じねぇよ」

「俺たちは…覚えてる」

「てめーらの拳方を」

「へっ俺はてっきりボケちまってまたババァにアタックしに来たのかと思ったよ」
「へ、女は女でもまた別の女さ」

「そいつはお盛んなこって。相手は一体どんな…」

「兄貴～～～！」

「いい女だろう。解放軍が街に迫っていると聞いてから帰ると聞かなくてな」

「何言ってんですか～親父だって足が速くてついていくのが大変だったんだから～」
「おめ～が歩くのが遅かっただけだろう」
「親父が速かった」
「おめ～が遅かった」
「親父が速かった！」
「おめーが遅かった！」

「親父が…速かったのに…」

「おお、俺が速かったな。マッハだったな。飴でも食べる？」
「次郎長さん！？」
「なんかしばらく見ないうちに娘の尻に敷かれてるアル、あの正露丸」

「バカ言ってんじゃねーや、おら天下の」

「じろちょんって呼んでください。最近はそう呼んでるんです！」

「それは人前で言うんじゃねぇ」
「怒鳴られた…」

「怒ってね～よ。じろちゃん全然平気だよ？あ、饅頭でも食べるぴろりん？」
「ぴろりんって呼んでんの？」

「これは…」

「お留守番、ご苦労様でした」

「良く持ちこたえてくれましたね。でも、もう大丈夫」

「誰だ？」

「お控えなすって。あっしは生まれも育ちも江戸は歌舞伎町。長らく贖罪の旅路についておりやしたが故郷を忘れがたく親友との約束も捨てられず、恥ずかしながら舞い戻ってまいりやした。
あっしは…寺田辰五郎の友にして歌舞伎町の番人、泥水次郎長でございやんす」