「実はさ、昨日男子の間でおもしろ動画の教えあいっこしててさ」

「へぇ、どんな？」
（よしよし、良い流れだ）

（木村から送られてきたサイトのアドレス）

「メェェ～～」

（おかげで俺があまり寝られなかったこれを…）

♫～
「なにか送った？」
「うん。可愛い動物の動画サイトをね」

「エッチな動画だったりして」
「違うって！」

「ふーん…どれどれ」

（どうだ怖くて声も出ないかい高木さん！？）

「西片…」
「なんだい高木さん？」

「西片っていつもこんなの見てるの？」

「えええええええええ！？？」

「なんで！？ちょっと待って！なにそれ！？俺が送ったのって…アレ！？」

「ちょっと聞いてみただけ」
「はあ？！」

「さて、西片が送ってくれたサイト見よーっと」

（ま、またしても！高木さんめ～～～！！！）

「他に誰にアドレス聞いたりした？」
「え…木村とか高尾とか、あと中居くん」
「他には？」
「まだそんなには…」

（あぁそうだよ！女子は高木さんが初めてだ！だから早く！早くアドレスを教えてくれ！！）

「私とメールのやり取りしたいの？」

「っ・・・・・・・・・」

「ち、違うって！」

「高木さんをメールでからかう作戦のために聞きたいだけで！別にそういう感じゃなくて！ほんとに！別に！何も俺は変な…っ」

「あ」

「ふふ…」

「あはははは！そんな事だろうと思ったよ！あはははは」

「私をからかう作戦は失敗しちゃったけどアドレス交換はしようよ」

「…うん」

「高木さん！」
「なに？」

「あ、あのー…」

「ア、アド…ス…」

「ん？」

「ご、ごめん！何でもない！！」

（なんだ！？なぜこんなに緊張するんだ！落ち着け！高木さんにアドレスを聞くだけじゃないか！）

はっ
（俺もしかして今、女子にアールアドレス聞こうとしてるのか！？）

（なんかそれって…なんか…じゃないか！！）

「ねぇ西片、私に何か聞きたいことでもあるの？」
「へ！？いやいや無いよ！無いよ！本当！」

「ふーん。てっきり私のメールアドレス知りたいのかと思ったよ」
（バレてる…）

（いやしかしこれはチャンスでは！？この問いにYESと答えるだけでアドレスGETだぞ！油断したな高木さん！）

「じ、実はそうなんだ…」
「なんでさっき誤魔化したの？」

「もしかして照れてた？」

「ねぇ？」

（た、高木さんめ！）

「そ、そんなことないよ」

「ふーん。本当かなー」

「高木さん！？」

「なんかまた腕立てする事になりそうな気が…」

「もしもし西片？」
「うん」
「そろそろかな、と思って」
「何が？」
「怖い動画を送ってくるの」

「な、なんのことかな！？」
「ふーん…」

（高木さんめ！俺の企みがこんな事でバレると思っているのか！勝負は…）
「”電話を切った後、楽しみにしているがいい！”」

「へ！？」

「とか思ってた？」
「いや、思ってないから！！」
「ほんとに？」
「本当だって…！」

「…じゃあそろそろ寝る？」
「あ、うん。多分」
「そっか」
「私もそろそろ寝るところなんだ」
「そっか…」

「なんか変な感じ」
「え？」

「西片と夜話すのって初めてだし。ちょっとドキドキするよ」

「じゃあまた明日ね。おやすみ」
「おやすみ」

「…西片？」

「うわっ！な、なに！？」
「まだ切らないの？」
「え！？」
「電話」

「高木さんから切ってよ…」
「私から掛けたんだし西片が切ってよ」
「なんでよ」
「ふふふ」

「じゃあ”せーの”で切ろうよ」
「分かった」
「せーのっ」

「……」
「……」

「嘘つき」
「た、高木さんだって！！」

（なんだよ…今日も寝れないよ）

「あ～本当いいの撮れた！西片も見る？」
「いいよ俺は！」
「ほらほら！」

「連写機能！？」
「いいでしょ！」

「この変わり様…！」

「あははははは！！」

「ははははは」
（高木さんめぇ！！）

（そうだ！その大口開けて間抜けに笑っている所を撮ってやる！きっと恥ずかしいだろ！）

パシャッ

「なっ！？？」

「綺麗に撮れた？」
「っ……」

「これでお相子ね？」
（全然お相子じゃないだろ！！）