「この雪、魔力を感じる。なにかの魔法だね…」

「人を操る魔法。魔力が未発達な子供限定の」
「え！？」

「うちも数人連れてかれてしまった。子供たちをさらって一体どうする気なんだ…」
「おいババア！」

「連れて行かれたってまさかマリーもじゃねーだろうな！？」

「残念ながらそうだよ」
「ババァ！！！」

「シスターテレジア！」
「てめぇが居ながら何してんだ！クソババァ！」
「おやめください！」

「すぐ暴力に訴える…！やっぱあんたダメだね！殴りたきゃ殴りな！でもそれじゃあ子供たちは…マリーは帰ってこない！」
「そうだな」

「だが殴らねぇと気がすまねぇ！！」

「ごぇぇぇぇっ！！！」

「アスタ！？」
「大丈夫かい！？」

「アスタ…てめぇ」

「まぁまぁゴーシュ先輩、ちょっと頭を冷やしてください…」

「よっ！！！」

「魔法騎士団たるもの！どんな時も冷静に、っすよ！」

「へぇ、言うじゃないか」

「冷静か…そうだな…」
「分かってくれたっすね！？」

「冷静におまえを殺す！」
「やりすぎたぁぁ！！」

「ルカ…マルコ…」

「大丈夫！きっとアスタ達が連れ帰ってくるわ！」

「気分転換にクイズなんてどう？」
「え？」

「じゃあ…アスタの出身地はどこだい？」

「ハージ村よ」
「正解」
「次は私ね！アスタの年齢は？」

「15歳でしょ…？」

「・・・・・」

「じゃあアスタの誕生日は？」
「10月4日よ。アスタの夢は？」

「将来魔法帝になること…だったかしら？」

「随分詳しいわね」
「あなたこそ」

（（なんだか負けたくない！））

「わぁ～友達がいっぱい出来て嬉しいなぁ！」

「な、仲良くしてね～。ふふふ」

「…え？ここは？教会じゃない…私どうしてここに？」

「みんなボーッとしてどうしちゃったの？」

「あの人誰…？」
（もしかしてあの人みんなに魔法を！？）

（そういえばお兄ちゃんがくれた鏡…ちょっとだけ魔法から守ってくれるって言ってた）

『この鏡をお兄ちゃんと思ってね』
（だから私だけ…）

「んー？君、僕の魔法が解けてるね？なんでかな？」
「あ…」

「悪い子だね。ちゃんと僕の魔法に掛かって良い子にならないと友達になれないよ」

「違うよ…魔法をかけて自分の思い通りにするなんて、そんなの本当の友達じゃないよ！」

「なんで、そんな酷い事を言うんだ…？」

「友達はそんな事言わない！！！！」
「きゃあっ！！」

「きゃあ！！」
「グヒャヒャヒャヒャ！！」

「ちょっとでも動いてみろ！こいつがどうなっても知らねーぞ！？」

「てめぇ！」

「なんだその目は？俺がイラっとした拍子に力が入りすぎちゃったらどうすんだぁ？」

「ネージュ！ぼっこぼっこにひねり潰してやれ…」
「うおおおおおおおおお！」

「はぁっ！！」

「グヒッ！」

「しまった！」

「マリー！」

「もう、大丈夫だよ…！！」

「アスタありがとう！」
「マリーちゃん！大丈夫か！？」

「とああああっ！？」
「アスタ！」

「てめぇ！なに物騒なもん投げてんだコルァ！マリーに当たったらどうすんだコラ！？」
「いやいやいや！これはマリーちゃんを助けるためで！てかゴーシュ先輩も当たったらどうするつもりだったんですか！？」

「当たるわけねーだろコラ」
「えええええええ！？」

「マリーへの愛は偉大だコルァ！！」
「えええ！！」
「お兄ちゃんやめて！」

「どくんだマリー！」
「だめ！！」

「あ、魔法騎士団に連絡…」

『ん？こちら騎士団本部ですフッハ！』
「あ、あなた何処かで…？」

「本当に本部の人！？」
『まぁ本職じゃないですが？ジャック団長の命でここの手伝いに回されましてねぇ。最近活躍しすぎてちょっと休んでいいぞ、的な？そんな感じですフッハ！』

「どうでもいいわ！！！緊急事態よ！雪が！雪がネアンの街に！」

『雪？ロマンティーック！』

「バッカじゃないの！！？何者かが魔法で降らせた雪なの！街の子供たちを誘拐するために！」
『な！えぇ！？早く魔法騎士団に連絡しなよぉ！』

「だから今してんでしょ！？」
『ハッフー！』

『そ、そうでした！もう安心ですよフッハ！』

「なんだかすごい不安…」