「キスしちゃった」

（おかしい…アリサと一緒に寝た記憶がない…）

（愛おしくてたまらない、欲しい、アリサが）

（待て、俺はいつからロリコンになった。幼女相手にこの思考はいくらなんでもおかしい）

「アリサ、魔法とスキルの使用を禁止する、これは命令だ」

「続けて命ずる！既に効果を発揮している魔法とスキルを解除しろ！」

「繰り返す、これは命令だ！」

「くっ…」

「はぁ…」

「どうして…」

「なるほど、精神魔法を使ったのはこれで二度目か」

「さっき宿屋の人たちに使ったな？おそらくだがポチたちへの悪意を中和させてるものだろう」

「そしてさっき俺にかけていたのは…この三つか」

「精神魔法で俺を操ってなにが目的だ？」

「目的と言われましても…」

「ごまかしたりとぼけたりするのも禁止する。命令だ目的を言え」

（丁度いい、有効化しておこう）

「重ねて言う、嘘偽りなく目的を話せ」

「ご主人様に奉仕したかっただけよ」

「意味が分からないな。もう少しわかりやすく話せ」

「もうだから言ってるじゃない！最初に会った時に一目ぼれしたの！」

「はー？一目ぼれ？」

「細くて柔らかそうな黒髪、無防備そうな表情、バカ臭くない童顔、華奢なタイプ、ムダ毛のないすべすべの手足！」

「こんな人が旦那様になってくれたらと夢想していた人がご主人様になってくれたのに奉仕はいらないなんて言うんだもの、そんなの許せないわ！」

「だから魔法を使ったの！私に夢中になってもらえるように！」

「それで惚れさせた後に洗脳でもしようとしたのか？」

「全然違う！ご主人様を誘惑して気持ちよくなってもらうのは奴隷の責務なのよ！」

（どういう理屈だ？）

「建前は分かった。それで本音は？」

「ご主人様が夜這いに来てくれるの待ってたら本当に寝ちゃうし…仕方ないからベッドにもぐりこんで寝顔を見てたら…」

「むらむらしちゃって。てへっ」

「いたい、いたいよ」

「では劣情に負けて襲っただけなのか？」
「そうよ」

「ゼナさん、誤解ですよ」

「だってあんなに可愛い子と一緒に寝てたじゃないですか」
「寝ぼけてベッドを間違えたんでしょう」

「でも男の人が女奴隷を買うのは夜の奉仕の為だってリリオが」
（リリオめ…）

「人によりますよ。彼女たちがいてくれるとここの日常生活でいろいろ助かるんです」

「そうなんですか？」

「今日の服は前のと雰囲気違いますね」

「フリルが豊かで清楚さの中に華やかさがあります。ゼナさんの魅力を引き出してくれてますよ」
（こういう時は褒めてうやむやにするのがいい）

「そんな…服だけです」

「あ、そうだこの先で素敵なストールが売っていたんですよ。一緒に見に行きませんか？きっとゼナさんに似合いますよ」

「本当ですか？見に行きたいです」

「えっへへ…」

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

「ん…」

「サトゥーさん、起きてる？」

「恋人さんが来てるよ」
「こ、恋人じゃ…」

「おはようございます。すみません、お見苦しい姿で。すぐに着替えますから」

「おお～～なかなかいいからだ…」

「「あぁ…！！」」

「あ～…ご主人様…そんなにされたら壊れちゃいます」

「ふにゃ～～」

「ふ、ふ…不潔です！」

「サトゥさんの馬鹿！」

「えへ、お邪魔しました」

「追わなくていいの？早くいかないとこじれるわよ」

（拗れるも何も友人なんだが）

「準備できました」

（なぜ、全部脱いでるんだ？）

（この子達は裸族？裸族なのか？）

「二人ともベッドの掛布団は薄いから風邪をひくぞ。早く何か着なさい」

「あ、あの…ご奉仕は？」
（あ～、この世界の奴隷は夜伽をするのが標準なのか）
「いや？いらないよ？」

「いらない？？」

「明日は朝から身の回りの物を買い出しに行ってもらうから今日はもう寝るぞ」

「今後も、夜の奉仕は必要ないよ」

「む～…」