「！！」

「ひ、ひったくりぃ～～！！」

「わしの戦利品！待っとくれぇ～～！！」

ダッ

「あのババア！」

「ひったくりだなんて、魔法騎士団のいる前でいい度胸ね！」
「全くだわ。あの子に任せておけば大丈夫よ」
「お願いだよぉ！」

「フッハ！アスタ！テメェにだけイイ格好はさせねぇぜ！」

「セッケ・シューティングスター！」

「ダサっ！」
「キモッ！」

「ほぉぉ！！」
「ここは俺に任せてお嬢さんとお姉さんとババアはのんびり待ってな！」

「汚っ！！」
「ダメ！！」

「フッハ――――！！」

「女連れで買い物か？」
「今日は休みだからな！」
「休みだからと遊んでないで雑務でもやって点数稼いだほうがいいんじゃないか？暴牛は星がマイナスって話だし」

「星ぃぃ！！そうだ聞いてくれよ！初めての任務で魔法帝から星一個もらったんだぜ！！」

（な―――にぃ―――！！！！？？嘘だろぉ！？？）

「よくやったわよね二人共！」
「ふふんっ」
「おひょおおおっ！」

（マジでかぁ！？落ち着け俺ぇ！）

（フーハーフーハー）

「そうか！まぁまぁ頑張ってるようだな！」
「フッハはどうなんだ？」

「セッケだ！」

「あら？」

「ユノ！」

「お帰りなさい」
「ただいま」
「大きくなったわね！」
「変わってませんよ？村を出発して2ヶ月しか経ってないんですから」
「そうかしら？でも、顔つきがね…」

「大人になったわね。今日はどうしたの？」
「任務でちょっと寄っただけです」

「なぜ私がこんな最果ての村などに…」
「こんにちは。シスターのリリィです」

「ウィリアム・バンジャンス団長率いる栄光の金色の夜明け団、クラウス・リュネット。新人の教育係です」

「はいクラウスさん！ユノがお世話になっています。お名前はユノからのお名前で存じてます」
「手紙？私のことはなんと書いて？」

「…」
「全く…！」

「ミモザ・ヴァーミリオンです。ユノさんの同期です」

「はい。ミモザさんのことも」
「まぁ！」

「なんて書いてくださったのですか？」
「……」

「ほう、これはお美しい」
「え」

「私は、あのハプシャス村出身、貴族院ハプシャス議員の息子にしてハプシャス家の世継ぎ、サリム・ド・ハプシャス」

「以後お見知りおきを！」

「いやあああああああ！！！」
「ぐあああああああああ！！！」

「はっ！ご、ごめんなさい！つい！」
「いえ…いいんですよシスター…っ」

「ユノォ！ユノじゃああああああああああああ！！！！！！元気じゃったかぁ～～！？？」
「わ～いっ！！」
「よく帰ってきた…」

「ぬあああっ！！！」
ゴロゴロゴロ
「ユノ兄！どうしたの！？」
「すげー、そのローブ！金色の夜明け団の！本物だ！」
「ユノ兄だ！わーいわーい！」
「わーい！」

「ねぇねぇアスタは！？」
「アスタは！？」

「アスタとは連絡とってるの？」
「いえ」

「今日は泊まっていくのか！？いくんだろう！？」
「いえ…」

「残念ながら少し立ち寄っただけです。我々は先を急がなければなりません」

「えーっ！！」
「まぁまぁ、そんなに急がなくてもいいじゃないですか。1時間ぐらいは大丈夫でしょう」
「しかし…！」

「おお！ならばハージ村名産ののも芋料理を用意しよう！ユノ、食べていけ！」

「みなさんもどうぞ。さぁさぁ」
「いやぁ、立派な教会ですねぇ～」

「こんな小さな教会初めて見ました。可愛いですね！」
「小さい！？」
「おままごとの家みたいです」

「ユノ兄！魔法騎士団のお話聞かせて！」
「聞かせて～っ！」
「こんな小汚い教会になぜ私が…」

「フッハー！！」

「フッハ！」

「手柄は俺のもんだ！！」

「それかっけぇ！！」

「フッハー！」

「フッハ！逮捕だ！俺の手柄だ！」

「フッハハハハ！！」

「フハ！？」

「それ…」
「フッハフッハうるせぇよ！てめぇも道連れ…だ…」

「うぎゃあああああああああ」

「どうしたフッハ！？」
「毒だぁ…体中に毒が回る…」

「しっかりしろフッハ！」
「フハッ」

（死ぬのか、俺は）

（…そういや俺も昔、上を目指してたんだっけ？）

「フッハー！！」
（フハ、こいつに託すってのがしゃくだが…）

「！」
「お前は俺を倒した男だ…俺の分まで上にいけよ…俺の夢、託したぜ…」

「フッハ！」

「フッハ…」
（こんな終わりも悪くない…か…）

「フッハ！？フッハー！！」

（………………あれ？俺死なないな？）

「フハァっ！！」

「な！？なにすっ」

「大事なもん人に託してんじゃねぇ！」

「生き延びて、自分の夢は自分で叶えろ！諦めんなバカ野郎！」

「ったく、こんなので死ぬわけないじゃない」
「フハ！？」

「タダの一時的な刺激毒よ。このシーケ軟膏塗っとけばすぐ治るわ」

「フハッ！」

「ばーちゃん、もう盗られんなよ」
「ほっほっほ、ありがとうよ魔法騎士団様」

「じゃあな、ばあちゃん」
「気をつけるのよ」
「長生きしてね」

「ほっほっほっほ」

「魔法無効化か…見たことのない種類の魔法だったな」

「いいや、そもそもあれは魔法かな？」

「ヤミもなかなかおもしろい子をとったものだね」

「これだから変身ブラリはやめられないなぁ…」
「やっと見つけた！」
「おっと」
「何してるんですか魔法帝！」

「あっはっは、何って、新たな魔法との出会いを求めて城下町をぶらりね」
「はい！？あなた自分の立場分かってんですか！？」

「魔法との出会いは一期一会」
「だから！」
「どこでどんな魔法に出会えるか分からないからね」

「人の話聞けよこの魔法マニア！」
「まぁまぁ、落ち着けよマルクス」

「お？」

「おお！あれはウィリアムのところの新しい子では！？」

「それではまた新たな魔法に出会いに行こうか」

「ちょっと行ってくるよ」
「待てコラァ！！」