「いやぁ！アドレイ家は誰もが羨む貴族の名画ですなぁ！」
「ゴーシュ坊っちゃまはお父様に似て聡明で！」
「マリーお嬢様は美しいお母様にそっくり！！」

「それで、私の事業に援助していただくお話ですが…」

「え！？」

「父さんと母さんが死んだ…！？」
「ああ。私の事務所に来た帰り、強盗に襲われてねぇ」

「この二人は遺書に全ての遺産を私に相続させると書れていた！！」

「何もかもぜーんぶね？」
「嘘だ！！」

「まさかお前らが…」
「黙れ！！！！」

「何だその目は？」
「ったく可愛げのないガキだよ！」

「出て行け」

「にいに…」
「大丈夫だよ。マリー」

（マリーは俺が守る。どんな事をしてでも）

「あ！！」

「コラァ！！またお前か！！」
（マリーだけが俺の全てだ）

「おいしいか？」

「うん！」

（マリーだけが笑顔で居てくれればいい）

「ひぃっ！」
「有り金全部よこせ！」
「ぼ、僕は貴族だぞ！！」

「あぁ？貴族は困ってる人を助けるもんだろ？」

（マリーだけが…！）

「そこまでだ！」

「これまで犯した罪を償ってもらう！」

「んなもん糞くらえだ！！！」

「このチンピラめ！！」

「マリー…」

「フフフ！隙だらけだよアスタ～！」

「そらぁ！！」

「しまった！」

「婆ちゃん！？」

「あー！また邪魔したぁ！出しゃばってこないでよー。魔力が衰えた老人には興味ないんだから！」

「言ってくれるじゃないか、若いの」

「確かに年と共に体内で生成できる魔力は衰えていく。けど自然に宿るマナを練る力はいくつでも高められるのさ！」

「テクニックなら年季は入ってんだ。まだまだ若いモンには負けない！！」

「ババア舐めんじゃないよ！！」

「もー、ウザいお婆ちゃんだなぁ。今日が命日になっても知らないよ？」

「やれるもんならやってみな！！」

「ゴーシュ！」

「新手！？手当たり次第攻撃する気かい！！」

「アスタァァァ！！」

「ババア…っ！！」

「婆ちゃん！！」

「他の人間のことなんざ知ったことか！」

「え～～～い！！」
「ゴハァッ！！」

「こんな格好悪いお兄ちゃんなんて、大っ嫌い！！」

ガ――――ン!!!!!!

「確かに私たち、いろんな人に酷い目に合わされたけど…シスターや教会の子達は違うもん！」

「私がお兄ちゃんと離れ離れでも寂しくなかったのはみんなが居たからだよ！」

「お兄ちゃんが魔法騎士団になれたのだってそうでしょう！？」
「クッ…」

「人は繋がって生きているんだよ！みんながいるから今の私たちがあるんだよ！お兄ちゃん！」

「それにみんなを守るのが魔法騎士団でしょ？」

「お兄ちゃんが魔法騎士団なのは私の自慢なの！私の自慢の格好いいお兄ちゃんでいて！！」

「マリー…」

「はい！1、2、3はいー！元気ですかー！？」

「マリーがいればなんでもできる！しかし時には心を鬼にしてマリーの頼みを断らなければならない時もある！」

「例えば――…」

「お兄ちゃん！アスタたちを助けに戻って！」

「だめだ！戻ったらマリーが危ない！」

「お兄ちゃん！トロ～リチーズのアツアツドリアが食べたい！」

「だめだ！食べたらマリーの舌が危ない!火傷する！」

「お兄ちゃん、ひなたぼっこ気持ち良いね！」

「だめだ！」

「強い日差しを浴びたらマリーの肌が危ない！紫外線は大敵だ！」

「お兄ちゃん、格好いい魔法見せて？」

「ダメ！」

「じゃない」

「マリー、俺を見てくれ」

「ミラージュ・ブリゲイド！！」

「「わぁぁっ！」」

「「お兄ちゃんスゴ～い！！」」

ブバッ

「だめだ…俺がっ…危な…い…」

「お兄ちゃん？！」
「お兄ちゃん？」
「お兄ちゃん？！」