「おい！魔力の戻し方を教えろ！」
「お、俺だけでも逃がしてくれ！そしたら教えて…」
「ふざけんな！！」

「正真正銘のクズだね！アスタ！先に子供たちにかかった魔法を消しておくれ！」

「あんた、変なまねするんじゃないよ！」
「これじゃしたくてもできねーよ…」

（グヒヒ！泥魔法・マッドメン）

「とぅりゃりゃりゃりゃりゃ！」

「うらららら―――！」

「どこここ？」
「ママァ！パパァ！」
「足がいたいよ～」
「シスター！」
「よしよし、みんなこっちおいで」

「フッハ！？」

「ハフ！？」

「フシュー」

「フハー！またとんでもないのが現れたァ！！」

「うるせぇ！！！」

「ったく…人が気持ちよく寝てりゃあ」

「フハフハハフハフ…今何時だと思ってんだ！？」

「ぼ、暴牛の団長！」

「あ？」

「フッハー！（安堵）」

「夜分に申し訳ない。黒の暴牛に応援要請が―…」

ガシッ
「え？」

「誰だてめぇ。あ、さては飲み屋のツケの取り立てか？」

「ハフ！？いや俺は魔法騎士団の」

「騎士団の飲み屋なんて行ってねぇぞ？」
「いやネアンの街が！」
「ネアンのツケはこの前払っただろ！！」
「フッハ！？ツケのことは一旦忘れて！！」
「もう一回払えってのか！？」
「ええええ！！」

（何なんだこの団は！？やっぱ青の野薔薇に行くべきだった！）

（フッハ――！）

「おいあんた！」
「ん？」

「俺も必殺の泥魔法で応戦するからこの体、動くようにしてくれ！あんたならなんとかできるだろう！？」

「えー、方法はあるにはあるけどー。いいの？」
「いいに決まってんだろ！なんでもいいから頼む！」
「じゃあやるけど。いいの？」
「ああ！」

「本当に～？」
「良いっつってんだろ！しつこいぞ！」

「お前ら何こそこそ話してんだ！！」

「早く回復させろ！あと金をくれ！そしたらちゃんとあんたの役に立つ！」

（なーんて言いつつ金貰ったら速攻逃げるけどな）

「オーケー。それじゃあ」

「えいっ」
「！？」

「何を！！」

「フフフ…！」

「――――」

「！！」

「ううう！！ああああア”ア”ア”ア”ア”ア”！！！」

「バロ兄ちゃん！？」
「なんだなんだ！？」

「ウウウウウウウ…」

「なんだいありゃ！？魔力が膨れ上がっていく！！」

「あちゃー、ちょっと失敗！」

「動けるようになって魔力も跳ね上がったけど人格がどっかいっちゃった～」

「こんなもん！！」
ザシュッ

「捕まえた～」

「普通の人間にしか見えないんだけどなぁ～」

「君のこと知りたいなぁ」

「痛えぇぇぇ！！」

「そして怖ぇぇ！」
「んー、血は普通だねぇ～」

「ちょっと小指の爪もらうねー」
「うわあああああやめろ！！！！」

「炎魔法・豪炎の十字架！！」

「ありゃあーサラマン君が溶かされちゃったー」

「そこまでだよ！この子は渡さない！」

「邪魔しないでよぉ」

（す、すげぇ！）

「あざーす！ばあちゃん！滅茶苦茶強かったんすね！」

「腐っても元魔法騎士団！紅蓮の女豹・テレジアたぁ私のことよ！！」

（えええなんかテンション高くなってる！？）

「って、元魔法騎士団！？紅蓮て…じゃあフエゴレオン団長のこと知ってるんすか！？」
「ああ、フエ坊ね」
「フエ坊！？」
「宮廷に仕えてた頃、あの子の教育係だったのさ」

『フエ坊、マナが乱れてるよ』
『はい！』

『戦いじゃ敵は待ってくれない！集中！そしてどんな時でも冷静に！』
『はい！！』

「とんだ鼻垂れ小僧だったけど、立派になるもんだよ」

（想像つかなすぎる…）

「フッハ！」

「ったくネアンに一番近いのが黒の暴牛だっつーのになんで応答しねーんだ？」

（しかし…黒の暴牛といえばはみ出しものばかりのとんでもねぇ団だよなぁ…）

「う～～…フッハァ…」

「こ、こんばんはー。応援要請ですよー…」

「フー…ハ…？」

「・・・」

「うん、帰ろう。ビビって逃げるとかじゃなく！誰もいないんじゃ帰るしかないよな！」

「むしろ暴牛団が俺にビビって逃げた的な？フッハ！」

「代わりに美女たちの園、青の野薔薇のとこ行っちゃおうかな～」

「そうと決まればさっさとこんなとこおさらば決めちまおうか！」

「フッハ―――！！？？？」

「フゥゥ！ちょ!ストップ！怪しい者じゃありませんから！！」

（や、やべぇ！あの顔…）

（完全に俺をやる気だ！！）

「やめてぇ！来ないでぇ！！」