「俺はサトゥー、行商人だ」

「ネコ」
「イヌなのです」

「トカゲです」
「それは名前なのか」
「今迄のご主人様からはそう呼ばれておりました」

「んーー、それだと呼びづらいな」

「では呼びやすい名前をつけていただけませんでしょうか」

（ゲームとかでも名前つけるの得意じゃないんだよね…）

「ポチ」

「タマ」

「「リザ」」

「かような名前をつけていただき誠にありがとうございます」

（そんな喜ばれても…）

「魔族だ。こいつらは亜人、魔族の出来損ない、いや魔王の眷属だ。こいつらに聖なる裁きを与えることで徳を積める。」

「なんですか？」
「あれはザイクーンオンの神官長です」

「先日の天罰とも言うべき星降りを覚えているか」

「これは神のご加護が薄れて居る証拠！」

「この聖なる石を購入し、アクマの眷属にぶつければ徳が積めるのだ」

「買う」

「売ってくれ」
「並べ並べ」

「見ていられませんちょっといってきます」

「おお、魔族に鉄槌を」

「非道な真似はやめなさい！」

「なんだ小娘、貴様は魔族の味方か？」

「おお、いかん。ゼナさんに見惚れてて出遅れた。お？」

（あの神官が主人じゃないのか。じゃああの子達の主人は…）

（こいつか？）

（これだ、ギルドドブネズミで検索）

（こいつらがサクラになって町の人たちを煽ってたのか）

（さぁ行動開始だ）

「皆さん、この男が首謀者です」
「ウース様！」

「サトゥーさん」

「なんなんだ貴様は」

「この男はザイクーオンの神官に奴隷を貸し与えただの石を聖なる石と偽って皆さんの金をだまし取ったんです」

「なんだって！」

「さらに彼の目的は別にあります。ザイクーオンの神官を利用し皆さんを扇動して伯爵に反逆させることだったのです。彼こそ悪魔崇拝者の一味だったのです」

「じゃああいつが最初から魔族を陰で操ってたのか」

（魔族…）

「あの女も魔族だ～～」

（一匹目）
とんっ

「おっと、貧血か？向こうで休もう」

（拉致スキルは使えそうだから最大まで取得するか～）

「やめろ、あじんが魔族などと貴殿が言ってるだけではないか」

「ふん、博愛主義の神官殿」

「わかっているんですか？このまま民衆の不安を煽って暴動にでもなったら
ザイクーオン神殿が反乱の首謀者になりますよ」

「くふふふ、あの奴隷たちのおかげで今日はかなり儲かりそうだな」

「あんたの出番だよ」
「な、なんだ貴様は」

「おい、こいつを叩き潰…」

「がはっ」

「きひひひひひ」

（そうだこの土地に来た時魔族が一人だけいた）

「ぐわー」

「みんなー広場から退避しろ！」

「キャー」

「サトゥーさんあの子たちを連れて広場の外へ！私は応援を」
「わかりました」

「危ないから避難しよう」

「命令だから無理」
「動いたら駄目なのです」

「主人のウース様からこの場から動くなと厳命されているのです。動くと隷属の首輪が締まります。どうか私たちの事はお捨て置きください」

「くっ…」

「これで喋りやすくなった！わたくし感激！」

（主人無し？ウースが死んだからか）

（これなら！）

「先ほどまでの裁き、恐怖、不安、偏見、不満、実に好ましい！わたくし満足！」