「夢よ光よ、王子を守り給え」

「お見事でしたわ、雪の王子はん。お姫はんもなんやらけったいな魔法使いますなぁ。ほならわても、マジカルミラクル夢々パワー、ぽんっ」

「何が狙いだ？」
「あんさんにも何も恨み無いんですけどね」

「…キエルのことを狙ってるんですね」
「ピンポーン、なかなか鋭いなお姫はん」

「キエル王子を釣るための餌になってもらいます」

「どうや～天然の冷蔵庫～半日もすればかっちこっちに凍りつくはずや」

「すまねぇオレに力がないばっかりに…さっきの魔法は使えるか。オレの魔力を増幅させてあの壁を壊すんだ」
「わかりました」

「このままじゃ雪止めの儀に間に合わない」

「おまえな、そんなことより自分の命を心配しろよ。オレが居なくたって兄さんは儀式を成功させるだろう」

「今日は午後に雪止めの儀を執り行うことになったんだ。ずっと延期していたからね。でもグレ兄が帰ってきたから」

「今朝、衛兵がこれを見つけた」

「心配するな、既に捜索隊を派遣して探している。時期にみつかるはずだ」

「予定通り行う。これ以上の延期は出来ない。国民を不安がらせないよう、この件は内密にしておけ」

「フロ兄、ほんとにいかないの？」

「おい、おまえ。もっとこっちこいよ」
「ええ～～～～～！！？」
「なんだよその反応は。くっついたほうが少しは暖かくなるだろ」

「今すごく寝たい気分で…」

「大丈夫です、きっとフロストさんが助けに来てくれます」

「兄さんが来るはずないだろ」

「どこへいくんだよ」
「あの変な蝶を追いかけるんだよ。海賊の国でもあいつを見たんだ。オレに近づいて…海へと誘いだした。きっとあいつが姫ちゃんをさらったんだ。
またオレを誘い出すために…多分ね。」

「罠ってことか」

「お初にお目にかかります。わたくしケガレマルと申します」

「ある方にキエル王子を連れてこいって言いつけられましてなぁ」

「なんや弟はんの方でしたか驚いて損しましたわ」

「ちょいと旗色が悪いみたいなんで今日のとこは退散しときましょか」

「おまえはキエルの何を知っている。誰がお前を送り込んだ？」

「あんたはぜ～んぶ覚えてるはずや。けど心では思い出したくないっておもてる。だから思い出せへんだけ」

（また…駄目だったか…兄さんごめん）

「お前の魔法でヒビが入っていなければオレもあの壁を破れなかった。お前は最後までよく戦った。堂々と胸を張って城にもどれグレイシア」

「どんなことがあろうと雪の国の王子は俺たち三人だ」

『これがお父さんで、これが僕で、それからこれが…セティーク！』

「本当に今日で行っちゃうのか？…また遊びに来てくれるよね？」

「もう来ないかもな」
「そうだな…」
「でも下僕じゃなくて友達にしてくれたら遊びに行ってもいいよ」

「おまえはペット」

「グレイシア今年はおまえがはじめろ」

「けど…」
「ずっと練習してきたのだろ？」

「スノウフィリアより春風の通り道が開かれた」

「旅の者たちの無事を祈る」