「これはRPGなんかでよくあるあれだな。罠を踏んだ途端、仲間全員飛ばされて離れ離れになるやつ！」

「マ～くん見つけた！」

「そっちじゃなくてこっちよ。こっちにいらっしゃい」

「要するに母さんのようなお前は母さんじゃなくて罠ってことだな？はぁ。ったく、こんなもん付き合ってられるかよ」

「お、出口か！良かった」
「マー君どこ行くの？おいていかないで？」
「だからいい加減にっ…」

「「「マー君、お母さんをおいて何処へ行くつもりなの？？？？」」」
「ホラあああああああああ！？なんだこのホラー！？？」

「いやああああああああ！」
「マー君！今行くわ！」
「まだ増えるの！？――っ！母さん！？母さんなんだな！母さんこそが間違いなく母さんなんだな！」

「そうよ！マー君なら分かってくれるわよね！」

「良くもマー君怖がらせてくれたわね！よりにもよって私の顔と声で！それでマー君が私のことを怖がったり嫌いになっ対したらどうしてくれるの！？もう絶対に許せないわ！私は全身全霊をかけてあなた達を叱ります！」

「真人！真々子さん！」
「みんな！無事で良かったわ！」

ポータ「じ、自分も大丈夫でした！何もおかしなことはありませんでした！」
真人「そっかそっか！みんなクリア出来て良かった！」

「それじゃさっさと敗北しなさい！大好真々子、一撃で仕留めてあげるわ！」

「私は母に反逆せし者！反発の化身であり、この身に宿すのは逆らう力！すなわち攻撃を反射するバッシブスキルを持っているのよ！なんて言うと思って！？」

「あんた剣士のくせに魔法使えるの！？」
「だって私は魔法剣士ですもの。当然使えるわ！」

アマンテ「あなたは分かっているの？あなたの息子はこの世界でワクワクする冒険の日々を送るはずだった。仲間に頼られ、戦い、絆を紡ぎ、甘酸っぱい恋に心を焦がす。そんな経験ができたかもしれない。でもその全てが実現しなかった。大好真人にあった素晴らしい可能性を奪ったのは――。大好真々子、母親のあなたよ！」
真々子「！！！」
真人「やめろよ！」

「俺たちがやっているのは母親同伴の冒険！まだ誰も知らない満ちすぎる冒険だ！だから俺たちですら戸惑うことばかり…」

「初めからずっとおかしな事ばかりだ。母親に振り回されっぱなしで散々だったよ」
「だったら！」
「でもさ、それこそが冒険なのかもって、ちょっとだけ思った。未だかつて誰も直面した状況にブチ当たって正しい方法なんて何も分からないままそれでも乗り越えていく」

「おかしくて散々な母親同伴の冒険。これは俺たちにしかできない冒険だ。だから俺たちは俺たちのまま母さんと進めばいい。進むのに必要なものは揃っているんだから！」

「お母さんなんだか胸がいっぱいで、なんて言ったらいいか、ちょっと分からないわね」
「息子こそ活躍すべきであり、あまりでしゃばり過ぎないようにしてもらって、その上で一緒に冒険すればいんじゃねぇの？」

「じゃあラストバトルと行きますか！」
「ねぇマー君。お母さんからアマンテちゃんへ、一言だけ良いかしら？」
「おう、ガツンと言ってやれよ」

「アマンテちゃん。私は今、とても怒っているわ。もしかしたらアマンテちゃんにも事情があるのかもしれない。そう思うけどやっぱり怒らずにはいられないわ……！」
「ちょ、母さん！それはさっきの！」
「真人！邪魔しない！」

「私はアマンテちゃんを叱ります！せーのっ、メッ！」

ポータ「あれは相手のためだからこそダメなことはしっかり叱る、母性の最大放出、上級母親特殊スキル・母のメッです！」

「まさか、こんな強力な技を！今の攻撃は一体！？」
「今のは攻撃じゃないわ。叱っただけよ」
「叱るという次元のなにかではなかったわ！！」

「まともに戦おうとした私が馬鹿だったわ！」

アマンテ「ここで願えばいいのね…！」
真人「させるかよ！こうなったら俺が先に願いを言ってやる！」
真々子「そうだわマー君、初めて塔に入ったときワイズちゃんが言ってたわよね！」
真人「そうだ！」
アマンテ「この世界から母親たちを――」
真人「産みたて新鮮卵を人数分くれぇ！」

「あらまぁ。ちょうど卵を切らしていたからとっても助かるわ。明日の朝ごはんはこれでバッチリね」

「嘘でしょ、こんな、こんな…！これだから母親はいやなのよぉぉ！！うわああああああああああっ！！」

「腹立たしい！全ては大好真々子のせいよ！他の四天王に協力を求めるのは極めて不愉快だけど。待ってなさい大好継子！私たち犯行組織リベーレがあなたを倒し理想の世界を実現させるわ！！」

「この度もお疲れ様でした。さすが勇者様御一行、見事なご活躍でしたね。」

「未だ詳しい情報は下りてきていないのですが。こちらはアマンテさんが使用していた闇色アイテムです。破損していないものを確保するのはこれが初めてですので徹底的に調べさせてもらいます」

「アマンテは母逆の四天王の一人。四天王ということは」
「あと3人敵さんがいるということです！」
「ということでまだまだ皆さんには頑張っていただきたいと思います」

「そうよね！そう！マー君はお母さんといっしょに先に進みたいって言ってたわよね！お母さんと一緒がいいのよねっ？」
「あぁ、うん、割とそんな感じもある、かな…」
「やっぱり！マー君の方からそんなこと言ってくれるみたいなんで夢みたいだわ！」

「それじゃあマー君！これからもお母さんといっしょに冒険しましょうね！お母さんと仲間たちで大大大冒険よ！」
「（何言ってんだよ俺も…。）今のはあくまで方便だろ。（でもまぁ。これが俺たちの冒険だよな）」