「やりました！本日の売上げ、過去最高額を更新です！ですがこの結果に満足せず明日はもっと売り上げを伸ばしましょう！」

「私たちはお店の接客をすることで格安でここに泊まれる契約…」
「今逆らっても宿代が上がるだけだ…」

「ギャラのいいクエスト」「ギャラのいいクエスト！」「ギャラのいいクエスト！！」

「逃げるんです。ワイバーンってある程度ダメージを受けると巣穴に戻るんですよ。野生の生物ですからよほどのことがない限り死ぬまで戦いません。それに数十キロ四方あると言われるワイバーンの縄張りから巣穴を見つけるのも不可能ですよ。で、ここからが問題です。ワイバーンは人間の顔を記憶します。一度戦ってひどい目にあった相手には二度と近づくことはありません。過去多くのハンター達が高額な装備を用意してこのクエストに挑戦してきました。ですが誰ひとりとして成功せず、得たのは戦いでできた傷と多額の請求書とクエストの違約金」

「つまり受けるのは馬鹿か初心者か勇者だけですよ」
「「「「じゃあ受けます」」」」

村長「お前さんたちがハンター？」
赤き誓い「はい。私たちが赤き誓いです！」
村長「チェンジで」

村長「お嬢ちゃんたちはどうやってワイバーンと戦うつもりだ？」
マイル「任せてください！我に秘策有りです」

「いい村長さんだね。ワイバーンをおびき寄せるために牛をくれるなんて」
「下手に人間の味を覚えられると厄介だからじゃない？」
「でも食べられちゃうのは可哀想っ…。牛ちゃん！私たちが守りますからね！」
「モォ～～～」
「うわぁっ！？」

ポーリン「大丈夫ですよ。よ～しよし」

「私たちを今までの討伐者と同じだと思ったら後悔しますよ！」
「でも完全に魔法の射程外ね。どうする？」
「届かないなら届かせればいいんです！」

「行きますよ！雷の鳥一号！！」

「レーナさん！攻撃しないとダメじゃないですか！」
「うわあああああああああああああああああ！！！！」
「上昇気流！レーナさんを着地させて！」

「一号は失敗ですね…。では2号、ポーリンさん行きましょうか？技の名前は八つ裂きポーリンです！！」

「ま、マイル！私が2号になろう！」
「メーヴィス！？」
「大空を駆け竜を討つ！これほど心躍る戦いはないよ…！」
「メーヴィス、ごめんなさい…！」

「では行きますよメーヴィスさん！」
「いつでも来い！」

「天空剣！」
「ギャアッ！」

マイル「もっと正確に早く打ち出さないと…。3号ポーリンさん！あれ？ポーリンさん？ポーリンさ～～ん？？」

「こ、これはその！ワイバーンがワイバーンでワイバーンのっ…！」

「痛いですよレーナさん、なんか怒ってます？」
「当たり前でしょう！なによあの雷の鳥とかいうのは！？」
「魔法の射程を飛躍的伸ばす画期的な対空戦術で…いででで、だから痛いですってば！」

「せっかくのワイバーン討伐、失敗したくないんです！」
「マイルちゃん！」

「――その目を見れば分かります。行きましょう、雷の鳥3号！」
「はい！」

マイル「今までは剣や魔法の間合いを計算してターゲットから多少離して放っていましたがもう容赦しません！直接本体を狙います！」

マイル「やば！光子力バリアー！」

「親方、空からワイバーンが！」「ポーリンさん！やりましたよー！まだダメージで飛べないようですねぇ。飛べないワイバーンはただのワイバーンです！」

「こんどは私の番です！私のターン！ドロー！カーボンナノチューブネット！」

「さぁクライマックスです！」
「散々手こずらせてくれたわね…」
「ウロコ一枚無駄にしちゃダメですよ」
「ここから始まるんだね…私たちのドラゴンスレイヤー伝説が…！」

「待ってくれ！このワイバーンを殺さないでくれ！」

「私はかつてこのワイバーンの飼い主だった男だ。あれは私が少年だった頃。あの日、私は傷ついた一匹のトカゲを見つけた…」

爺「心優しいことで評判だった私は…」
マイル「自分で言う！？」
爺「私はそのトカゲを見捨てることができなかった…」

「傷が治るまではと思いトカゲを育てることにしたのだが、拾ったのはただのとかげではなくワイバーンだったのだ！その頃にはすっかり情が移っていてね…私にとって彼は兄弟のようなものだった。だが両親は許してくれなかった。そして私たちは別れることになったのだ…」

マイル「やっぱり涙がこぼれた！僕はたまらない気持ちでその場を離れた…ッ！」

メーヴィス「せっかく苦労して捕獲したのに…」
爺「本当に済まないことをした。今更都合がいいとは思う。だがそれでも私はお前と一緒に居たいのだ」

「お前を捨てた私を許してくれるのか…？」
「ギャアッ！ギャアッ！」
「ありがとう。これからはずっと一緒だ！」

村長「――お話は分かりました。ですが我々の村にも少なくない被害が出ている。そう安安と首を縦に振ることはできませんな」
爺「悪いようにはせん」
村長「生き別れたご友人との再会！お祝い申し上げる！」

爺「君たちにも不利益になることはしないと約束しよう」
マイル「あの、クリフトさんって何者なんですか？」
爺「私か？私は――」

レーナ「ワイバーンを飼う、なんていうくらいだからそれなりの身分だとは思ってたけど。びっくりよね」
メーヴィス「彼がワイバーン捕獲のことをギルドに報告してくれたから、クエストも達成。これで正式にドラゴンスレイヤーだね」
ポーリン「宮廷魔術師とのコネクションも出来ましたし、今回のクエスト、大成功です！」

「えぇ！？この宿を出て行く！？」

赤き誓い「うん」
レニー「どどど、どうしてですか！」
ポーリン「今までは宿代の節約のためにこのお店の客引き接客その他もろもろ手伝ってきましたがもう必要なくなりましたから。」
メーヴィス「私たちはハンター。接客が仕事ではないからね」
ポーリン「実はお風呂のあるところに引っ越そうかなって。ここにはありませんしね」
レーナ「（勝った！）」
レニー「（負けた…！）」
マイル「それでね、レニーちゃん。ちょっと相談があるんだけど…」

「どこの山？」
「この桶の文字、どこの国のなの？」

「い、いや、あの！」
「実家の秘伝？」

マイル＆レーナ「えぇ！！！」

レニー「あー、いい気持ち」
ポーリン「お湯は魔法で出せますから、私たちがいる時ならいつでも入れますよ」
レニー「本当ですか？嬉しいです」
マイル＆レーナ（（負けたー！！））