「月、なんか大きくない？」
「気のせいじゃない？あっ！またこんなにお弁当作ったの？」
「なんか、食べたいって言ってくれる人また増えちゃって。もしかして…私、料理の天才？」
「お昼代節約したいから利用されてるだけだよ。だってお姉ちゃんのお弁当、そんなに美味しくないもん」

「学校に1個忘れてきた！」

「ロサ、水晶、中に人がいますわ」
「師匠、そっちはいいんですか？」
「私一人でやりますわ」

「先に言っておきます。あなたは私には勝てません」

「夢？夢、夢夢夢夢。夢…じゃないよねー！」

「もしもし！」
＜もしもし、あなたは誰です？どこの魔術師です？＞

「魔術師？なんのこと？
とにかく大変なの！戦争か何か分かんないけど、なんかおっきなロボットが…っていいや！誰か知らないけどとにかく警察に」

「もう少ししたら行きます。それまで捕まらないようにしてください」

「アルマノクスの魔力最大値は私の方が上ですわ。魔術構築の隙を与えず力比べにさえなれば」
「あなたが魔術構築している間、どれだけ時間があったと思うのです！言ったはずです、勝てないと！」

「アンナは逃げました。戦いますか？私と」

「なんですか？それは」

「えっ？お弁当」
「お弁当…何故？」
「さあ…」

「そこまで一生懸命食べてくれる人初めてだ…美味しい？」
「いや、味は普通ですね」

「気付いてると思いますが私たちが住んでいる世界ではありません」

「だよね！もしかして、異世界転生って」
「違います。ここは一種の幻想空間です。マギアコナトスによって作られた。
それより、あなたはどこの魔術師の子孫ですか？アルマノクスはどこに？」

「えーと…」

「…新月、エルネスタ深海といいます」

「新月…へえ～すごい！私は満月だよ！小日向満月。どっちもお月様だね！」

「グランベルム？」

「はい。世界で唯一の魔術師……。プリンセプスの魔術師になる為に満月の夜ごとに最後の一人になるまで行われる戦い…全く理解できないといった顔ですね」

「だって全く理解できてないから…」

「かつて…世界は魔法で溢れていました」
「そうなの!?」
「そこからですか…」

「太古、魔力は人の生活を豊かにし、魔術はそれを使う業として人の間に広く浸透していました。
しかしそれはいつしか争いに使われるようになり、自然を破壊し生命を脅かすものになっていったのです。
そこで世界で最も強い魔力を持つ七人の賢者が自らの命と引き換えに世界に溢れる全ての魔力を封印し世界から魔力を消し去った…。

今から1000年近く前のことです。

その封印がマギアコナトス、つまりあそこには世界中に溢れていた全ての魔力が収められている。」

「あなたは早く逃げて！」

「動かせますか？」

「…分かるわけないじゃん！」

「イメージです。その人形はアルマノクス…あなたの心が形になったもの。
それは…あなた自身です。
その人形をどう動かしたいか、どう戦いたいか…強いイメージを持つのです。」

「イメージする、イメージする…」