内容をカンタンに説明すると…
- 通販でもなく本屋を利用する理由とは。ネットでも買える時代に選んで本屋に来てたならありがたいことだと。
- 純粋さは時に罪。性癖の濃い棚に近付こうとする子供と母親の攻防戦。アザラシさんが提案する本田さんをイケメンにしての実写化とは?
- 今回は…どんな本も最初は新刊、しかしそれをすぎると次第に売れなくなっていく。そういうのは死に筋と呼ばれ取次を経由して出版社に返品される。その見極めがなかなかに難しい。逆に復刊として生き返ることもある。
【ガイコツ書店員 本田さん 9話】生と死と再生の書【アニメ感想】
無い、無い、無い!
「すいません、先週出たばかりの横浜○SFありますか?」
「はい、お調べしますね」
「ありがとうございます。なんか…なくて…どこいっても…出たばかりなのに」
お客さんの眼力、ホラー
(へー人気なんだ。私もネットで見て気になってたしあとで買おうっかな~)
自店在庫 品切
他店在庫 全滅
取次在庫 沈黙
出版社在庫 スッカラカン
皆無!!
「ないんですね…」
ゴスロリなお客さん真顔です。
「おまたせしてすいません。恐れ入りますが品切れで、現在お取り寄せも承れない状態です」
「そうですか…わかりました」
歯を食いしばるお客さん、く、悔しそうです…。
(なんかごめ~ん)
その後も同じタイトルを聞きにくるお客様が多数来店。
皆撃沈していきました。
断末魔すぎる…。
(初めてだよ、皆聞いてくる本が一緒なんて発売日初速で入荷数全滅はさすがにエグい。
しかも私も買ってないし!)
「いや~なんかすごい売れちゃって。一応追加注文は出しました。
売れ筋だし重版するとは思うけど角川って比較的重版遅いしいつ店着するか…」
「ですよね」
「版が出すぎ、置く場所無い。新刊台出すとこないよ~~助けてフルフェイス。棚貸して~~」
オキツネ先輩が唸ってます
「ははは、うちもそんな感じなんでちょっと無理っすね」
「なんかさ~最近初速売れの勢い落ちてない?一ヶ月したらすぐ返品するよね。
いらん在庫もちたくないし。でも返品した途端何故かすげー問い合わせ来て焦って注文する」
((わかる…))
「ってか新刊台の本、入れ替わり方ものすごくない?」
「ほとんど組み換えパズルだよね」
「「だから出すぎなんだって漫画が!!」」
「流れ弾すごいくらんですけど???」
オキツネ先輩とフルフェイスさんの怒りに
書店員兼漫画家の本田さんたじたじです。
難しい調整
(在庫を持ちすぎるのはよくないので新刊の数に関して書店員は殊更デリケートになりがちだ)
「いやそれ絶対売れない!作家さん無名の新人でしょ?版元ならもっと推さないと!
数だけ増やせって言われても無理!」
ホウタイさんの電話越しの会話を聞いてまた流れ弾くらってる本田さん。
「版元さんからですか」
「そうそう、ネットで前評判や告知もこない新人先生のデビュー作となるとなかなかね…」
「やっぱり数入れられませんか」
「有名作品と違って置けば勝手に売れるわけじゃないもん」
「ですよね」
「でも版元が一生懸命推してるなら別。こっちもよっしゃなんとか売ったろう!って思うわ」
(すごいいい人か!ぐっときますやん)
「ところで本田今日ずっとそれやってるけど終わった?死に筋チェック」
「終わっておりません!」
(どんな本も最初は新刊、しかしそれをすぎると次第に売れなくなっていく。
そういうのは死に筋と呼ばれ取次さんを経由して出版社に返品されるのだ)
(仕方ない…始めるか)
整理を始めていると本田さんには聞こえるのです本の声が…。幻聴なんですけどもちろん。
「ふえ~んいたいよ~~もっと優しく入れて~あ~もうらめぇ~~」(幻聴)
「思い出して。棚に本が入り切らないから死に筋を返品するということを…」(幻聴)
(とりあえず棚の上半分はなんとかなったぞ~~)
コオモテさんが頭を抱えています。
「私も死に筋返品しなきゃなんですけど…うちの店の子らほんま動きゆっくりやから…
このペースで返品続けたらいよいよレーベルごと消滅しはる…」
感情が高まると口調が変わるタイプのコオモテさん。
「あまり気にしないでいいんだよ~」
ペストマスク係長が助け舟を。
「死に筋のラインナップは目安だから。試しに一旦返品して、お問い合わせが来るようだったら
また置き直してもいいんだし」
「ですよね、現状売れても居なければお問い合わせも来てないので…もうさよならせなあかんな…」
(コオモテさんのところはいつまた売れるか読みづらそうで大変だな…
おっと…出ました、シリーズ物の途中だけ死に筋のやつ。なるほど大変だ。
返品するとシリーズが歯抜けになっちゃうぞ…返すのやめようかな…あ~どうしよう、よりによって真ん中と最後じゃん…揃えないで置いたらカッコ悪さ抜群の極み。
あ~誰かこの本買わないかな急に。このままだと売れてる本が棚に入らないんだ)
そっと戻しました。
(いいんだ、別の死に筋を返品して、ちょっとゆとりを出せば少なくとも今のミチミチ状態
からは脱出できる)
というわけで保留!
しんだりいきかえったり
(死に筋とは言えそれは単に店では売れていないということに過ぎない。
この頃巷では一度絶版になった本が生き返ることも増えた)
絶版の遺影が本田さん。どこまで自虐的なんですか。
(こうした時を超えた蘇りを復刊と呼ぶ。
今から20年ほど前、致死性の極めて高いエボラウイルスにまつわる本が刊行され
ベストセラーになった。しかしやがてその本は死に筋となりながらく絶版状態だったが
2014年西アフリカでのエボラウィルス大感染に伴い緊急復刊。時を超え新装版として息を吹き返したのだ。
さらにその復刊を皮切りに感染症関連の書籍が出まくり濃度の高い特設会場も出現。
本ってこんな風に生き返ったりもするんだなぁ)
「あー覚えてるそれ。コミック売り場ではあんまり見ない光景だよね」
「前にお客様から問い合わせを受けた本が絶版だったことがあって…
電子書籍を勧めると高確率で怒られることがわかったんで二度というまいと心に誓いました」
「うわー自分も気をつけようっと」
横浜○SFの重版分が届いたと溶接マスクさんがもって来てくれました。
本田さんの分も一冊確保してくれたようです。
テンション上がりまくりの本田さんなのでした。
(生と死と再生、本の輪廻転生に立ち会いながら日々働いています)
もちろんそんなわけないですよね。満遍なく売れればいいんですけどね。
死に筋という新たなキーワードが出てきました。なんとも頭を悩ませるシステムですよね。
確かに漫画と違い専門書は確かに再び人気が盛り返しますよね。
本の輪廻転生…。まさにそうですね。
毎度毎度本田さんを見終わった後は本を大事にしなきゃなと再確認させられます。
電子書籍なら在庫を抱えなくていいのでしょうが物で手に入れることに意味がありますもんね。