「いくら歩いてもこの木の前に歩いてしまうグル…」
「マジもう勘弁～」

「森全体に魔法がかけられてるのか」
「キカザル達、マジここで死ぬんじゃね？」

「ん！！」
「？」

「ザクたんグル！」
「こんにちは」

「ピクニック…？」
「違う！！」

「ここ、森の出口」
「やったぁー！ありがとう！マジ助かった！」

「でもザクたん、なんでこんな所いたの？」

「私、住んでるの…。あっちのずっと向こう。毒の沼地」

「え？住んでる？」
「ひょっとしてお前知らなかったのか？」
「グルたちがコールで読んでいる人たちは各国に実在しているグルよ」
「へー、そうだったんだぁ！」

「この間は大変だった…」
「前に呼び出したときグルか？」

「薬、作ってる最中に呼ばれて…」

「帰ったら沼の毒蛙、みんなみんな巨大化…」

「それはご迷惑かけてしまったグルね…」
「マジかー。そんな話聞いたらコールし辛くなっちゃうよー…」

「今後も遠慮なく、呼んで」
「あ、嫌じゃないんだ」

「本日は集まって頂きありがとうございます」

「くろくろ～、新しい依頼？」
「またあのピリオド…ハル達を出し抜けって話？」

「そういうことです。ヘンピ村に行って彼らの依頼を横取りしてください」

「やば！ヘンピ村ってすごい山奥じゃん！」
「ま、私たちは破格の条件であんたに雇われてる身だから従うけど」

「いってらっしゃ～い！」

（カンパネルラと黒パネルラ、2つの顔を持つようになって早3ヶ月が過ぎました）

（カンパネルラとして第8支部を支える一方で、黒パネルラとしてワイズマンさん達にハルくん達の依頼を横取りするよう指示をする毎日）

（なぜそんなことをしているのかというと、それは――）

（秘密です）

「仕事を放り出して逃げてきちゃったんですか？ダメじゃないですか」

「そんな事分かっているのじゃ！つまらん正論を言う奴じゃの！」
「いいえ、その子の意見は正しいですよ」

「仕事を放り出してはいけません！」

「アクアマリンさん！？」
チッ！

「そうか、ルビーは陽動じゃったのか」
「ご名答です。さぁ、執務に戻ってくださいダイヤさん」
「む～…」

「無念じゃ～…」

「ブラッドレルムってなにかすごいですね…」
「いや、本当はダイヤさんは立派な人なの」

ばっ
「仕事嫌じゃ―――っっ！！」

ガシッ

「ああ～～～」

「全く往生際の悪い！」

「多分……」

「お待たせしました」

「友達には会えたんですか？」
「おかげさまで…」

「そっちにもお友達ができたんですか？」
「え？」

「うわ！誰！？」
「これ！静かにするのじゃ！」

「ダイヤさん！？」
「えぇ！？」

「…って誰ですか？」
「この国の魔女協会の総帥ですね」

「えぇ！？？」
「声が大きいのじゃ！敵に気づかれる！」
「敵！？」

「ダイヤちゃーん！」

「帰っておいでー。仕事がまだ残ってるよー！」

「バカめ。仕事が残ってるからこそ帰りたくないのじゃ」

「ってあれ、ルビーさんじゃないですか！」
「え！？十輝石の！？」

「てことはサファイアさんも！？」
「サファイアはお使いを言いつけたからいないのじゃ。だから手薄になった隙を突いて出てこれたのじゃ！」

「なーんだ、居ねぇのかよ」

《みなさんお待たせいたしました！ブラッドレルムが誇るトップモデル・十輝石によるスペシャルエンターテイメントショーを開演致します！》
ワァァァッ！！

♫～～

「あ、間に合いましたね！」
コクン

「ギリギリ間に合ったじゃん！」
コクン