「長老、車が一台来ました！」

「うむ、観察して報告しなさい」
「はい分かりました！」

「えっと…バギーですね。剣を持った若い男と小さな女の子と犬が見えます」

「さて、あの連中はワシらの獲物としてふさわしいか否か？」
「はい、僕はふさわしいと思います！」
「そのワケは？」
「はい、あのバギーの型は珍しくとても高く売れそうです。男は腕が立ちそうですが剣なら弾丸には勝てません！女の子や犬は無視していいと…」

「40点じゃ」
「なぜですか長老？」
「女の子をよく見なさい」

「あ、手に何か…黒っぽい丸いものを持ってます。人形でしょうか？」
「いや、手榴弾じゃ」

「手榴弾！？」
「あの男はかなりの凄腕のようじゃ。それに犬は鼻が利く。待ち伏せは簡単にバレてしまうじゃろう」

「アレは襲ってはならん目標じゃ…」

「長老、モトラドが一台来ました！」

「うん…ワシにも見えた。報告しなさい」
「はい！」

「モトラド乗りの男の子…」

「いえ！？アレは女の子です！！」

「とても可愛い女の子ですよ！！！可愛いなぁ…」

「ふむ。さてあのモトラド乗りはワシらの獲物としてふさわしいか否か」
「簡単です、絶対に襲うべきです！だって女の子一人ですよ？」
「ダメじゃ0点じゃ」

「見た目で騙されてはならぬ。一人で旅をしているということは一人で旅ができるということじゃ」

「あの子はああ見えてきっと数々の修羅場をくぐり抜けてきた凄腕じゃ…」

「枯葉色コートの旅人さん！」
「旅人さん！」

「料理を作ってください！！」
「はい？」
「え？」

「旅人さんの料理に興味があります！」
「作ったら食べられますよ！」
「え？じゃあ…」

「この国の人、逃げて…」

「よしっ！」

「鶏肉のキノ焼き！お待ちぃ！」

「これは…」
「鮮やかでしょう！？」

「唐辛子…ですか」
「おう！鶏肉と同じ量を使うのがレシピ統一のルールだ！お酢をコップ1杯使う、山椒をケチらないのもな！」
パクッ……
「どうだい！？」

「うぅっっ！？？」
「ほら！インパクトあるだろ！？この国だけの名物料理さ！」

バタリッ

「なんとも…これは…」
「さすらいの料理人に教わったのさ！」

「そういえばこうして見張りを立てるのは長老の考えだそうですが」
「そうじゃ、アレは遠い昔……っハァ、ハァッ…（過呼吸」

「皆で通りがかりの旅人を襲った。黄色いボロボロの車じゃった…」
『ヒャーッハー！！』

「ヘラヘラした若い男と長い黒髪の美女が乗っておったハァッ…（過呼吸」

「あああいつらは恐ろしい悪魔じゃった！」

「悪魔じゃったぁ！！」

「！み、みんなぁ逃げろぉ！」

「長老！？」
「うわあああああ」
「長老！！！」

《キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Seriesをご覧の皆様こんばんは！そうです、私が原作者の時雨沢恵一です！アニメを視聴してくれて、本当にありがとうございます！そしてこれが、アニメ版のあとがきです！》

「ねぇキノ、本当にこんな所に国があるの？」
「さぁ？」
「さぁってねぇ…」
「実は僕もなぜこんなところを走っているのか分からないんだ。不思議だ」
「やっぱりね」
《「あとがきの旅のアニメ化が夢です！」なんて。キノの旅Ⅶで書いたのは2003年！それは、そう！前のアニメ化の放送中に出た本！そして今、14年の時を越えて……。あとがきが、TVアニメ化したのです！なんでも言ってみるものですね！みんな、夢を諦めるな！ドリームを諦めるな！重要だから2回言った！みんな！夢があったら語ろう！》

《言って、口に出して、言葉にして、そしてその実現のためにコツコツと、できることから頑張っていこう！そしていつか多くの人間の理解と力を借りて、その夢がポン！と現実になることだってあるっ！皆さんがいま観ているものが、まさにその証拠なんですっ！》

「ねぇキノ、一体どこに向かっているの？」
「さぁ？」
《とまぁ、そんなちょっと教育的に良さげなコメントを持って、私からの、アニメのあとがきに代えさせていただきます》