「こうして神樹様はウイルスから人類を守るために――――」

（うう…合宿なら勉強しないで済むと思ったのに）

「――ところが何が起こったのか。乃木さんは答えられる？」

「あっはい～。バーテックスが生まれて私たちの住む四国に攻めてきたんです～」
「正解ね」
((あれで聞いてたんだ…))

「疲れたよ…腰にくる戦いだった…」
「ああして攻撃を受けて止めてくれたから私たちが踏み込めたんだよ、ありがとねみのさん」
「そっちこそ凄かったじゃん」
「だってみのさんが1分もつって言ったんだから1分は持つじゃない？それくらいあれば何とかなると思って。長引かせると危険だもんね」

（先生は見抜いていらしたんだ…いざという時の乃木さんのひらめきを…）

（それなのに家柄のせいで乃木さんがリーダーに選ばれたと思い込んで…。馬鹿だ…自分がしっかりしなくちゃと思ってたけどタダ足を引っ張っただけだったんだ）

「あーあ、お腹すいたー」
「うどん食べてる途中だったもんね」
「うっうっ…」

「どうした須美！？どこか痛いのか!?」
「違うの…私…」

「ごめんなさい、次からは初めから息を合わせる…頑張る…」

「ああ、頑張ろうな」
「はい、わっしー」

「ありがとう…そのっち…」

「もう一回言ってわっしー！」

「ソ…そのっち…」

「ほおおおおおおおおおおお！」

「私は！私は！？」

「…ん」
「え？」
「銀…！」

「嬉しいなぁ…なんかようやく須美とダチになれた気がする」

（これは3人の勇者の物語。神に選ばれた少女たちのおとぎ話。いつだって、髪に見初められるのは無垢なる少女である。そして多くの場合、その結末は――）

「なにか…仕掛けてくる！」

「根性おおおおおおおおおお！！！！」

「みのさん！」
「1分は持つ！上の敵を！やれぇぇぇ！！」

（でも、そしたら三ノ輪さんが危ない…！）

（現実に被害が…三ノ輪さんが…どうしよう！）

「私たちで敵を叩くよ！」

「わっしー！上！」
「りょ、了解！」

「みのさん！！」

「とどけぇえぇぇぇ！！」

「ここから出て行け！！」

「突撃ー！！」

「みのさん！」

「届けええええ」

「3倍にして返してやる！釣りはとっとけー！！」

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ――」

「りゃあああああっ！！！」

「はじまった…」

「鎮花の儀…」

「終わった……」

「ここが三ノ輪さんの家ね。早速様子を…」

「ピンポンダッシュー？」
「そんな恐ろしいことダメよ！」

「こっちにしましょ。こんなこともあろうかと持ってきたの」
「おぉ～本格的～」

「おい泣くな～お前この銀様の弟だろ～」

「泣くなって泣いていいのは母ちゃんに預けたお年玉が帰ってこないと悟った時だけだぞ！」

「うううぅぅぅ～」

「ぐずり泣きが始まってしまった…ミルクやおしめじゃないだろうし」

「ほらほらほら～」
「わぁっ」

「お、泣き止んだ！偉いぞマイブラザー！」

「全く甘えん坊な弟だよな～。大きくなったら舎弟にしてこき使お！」

「お、お前はうちに慣れたか？」
「シャ――ｯｯ！！」

「姉ちゃん買い物はー？」
「はーい、ちょっと待ってね！」

「わ～みのさんワンダフル！子守とかお手伝いとかしてるよ」
「あんな小さな弟がいたのね！」

「毎日毎日バランスのとれた食事、激しい訓練、そしてしっかりの睡眠。勇者というか運動部の合宿だよねこれ～。なんかこうバーン！と超必殺技を授かるようなイベントはないのかねスミ！？」
「今回は連携の特訓だから仕方ないわね」

「なんだか私更に筋肉ついてきたかも」

「強くなるのはいいけどこれから成長する女の子がこなすにはいろんな意味で厳しいメニューだろ」
「みのさん、竜巻に巻き込まれた傷痛まない？」
「平気平気！園子は？」

「どっちかっていうとこっちが染みる～」
「あれ握ってりゃそうなるよな～」

「鷲尾さんちの須美さんも体を見せなさい！」
「な、なんで？」
「クラス一の大きいお胸を拝んでおこうかなーと」

「まるで果物屋だ！オヤジ！桃をくれぇ！」
「ちょ、ちょっとダメ！」
「事実を言ったまでだね！むしろ大きいくせして照れてるとか贅沢言うな！」

「サンチョも入れてあげたいな～」

「三ノ輪さん、鷲尾さん、温泉で騒ぎすぎ！」

「や～大人の体ってすごいな…服着てるとそういうのわからないんだけど」
「そうね…例えるなら戦艦長門…」
「なにそれ？」

「旧世紀の我が国が誇る戦艦よ！詳しく話してあげる！」
「う、うん…」