「いい加減にしろ！出て行ってくれ！」
「なにしやがる！」
「それ以上飲みたければカネを持ってくるんだな！タダで飲ませる酒はねぇ！」

「こんな店こっちから願い下げだ！畜生っ」

「うわっ！」

「うぅ…積もってきたし足元気を付けないと…」

「何なんだ、そのグリモワールは？その剣は！？」

「一体お前は何なんだ！？」

「魔力の無いクズがぁぁ！！」

「俺の魔法を無力化した…！？」

「魔力が無くても俺は魔法帝になる――」

「諦めないのが俺の魔法だぁぁぁぁ！！！」

「ハァ…ハァ…魔法が使えないならせめて肉体でもと思って鍛えた筋肉が役に立ったぜ！」

「うっ……ペンダント…僕の…」

「ちょっと金に変えてくるだけだっつーの」

「返して…」

「みすぼらしいガキが！分不相応なモン持ちやがって！」

「返して…返して。僕の…」

「なんだそりゃあ！？その程度の魔法でこの俺様をどうしようってんだ！？勝負して死ぬか？」

「うぅっ……！」

「ユノ―――――！！！」

「なんだこのガキ！？」

「それはユノのだっ！返せえええええ!!!!」

「返せえええええ!!」
「薄汚ぇ手で触んじゃねぇ！このクソガキが！」

「まだだああああああ！！」

「まだだ！！」
「しつけぇ！」

「まだだぁああああああああ！！！！」

「しつけぇ…クソガキが…」

「アスタ！ごめん…僕…僕…」
「気にすんな」

「ユノには俺がついてるって、言ったろ」
「アスタ…」
（アスタはいつも、ありえねぇ事をやってのける）

「美味しい！けど固い…」

「さすがシスターリリィ！料理も上手！最高！」

「大きくなったら俺と結婚して料理作ってくれる！？」
「それ神父様が焼いたのよ、神父様と結婚する？」

「や～だ～シスタ～がいい～！！シスタ～！結婚結婚結婚婚！結婚結婚結婚婚！」

「よく出来ました」

「アスタ、無理だって。シスターは…えっと…聖職者なんだから…」

「まだだユノ！大人になるまで絶対諦めないからな!!」
「が、頑張って」

「ユノ！見ろ見ろオレのグリモワール！とてつもなくボロボロだけど一生大切にするぜ！」

「よぉ～しよしよし」
「また…助けられちまったな」

「この借りはいつか必ず返す」

「アスタ、約束、覚えてるか？」

（ユノも魔法帝になるんだな！だったらユノは）
（アスタは）
((俺のライバルだ！))

「ユノこそ覚えてたのかよ、俺てっきり馬鹿にされてんのかと思って…」
「ライバルと仲良くやる趣味はないからな」

「俺に希望をくれたのはお前だ。貧しくても捨て子でも、俺たちでも、この世界で誰よりもすごくなれるって証明するために」

「シスターやみんなを幸せにするために――」

「「どっちが魔法帝になるか勝負だ！」」