「久我照紀謹製、四川麻婆豆腐！熱いうちに食べてちょ！」

「十食分、全く同時に出てきやがった。すげー正確さだ」

（なんだよこりゃ。）

（辛い、美味い、辛い、美味い、辛い、美味い！）

（舌が焼けそうに辛いのに後から後からうま味が沸き上がってきやがる！）

（ゆきひらの麻婆豆腐と根本的に別物だ！）

（しかも全部…寸分違わず同じ味。こいつらどんだけ鍛え上げられてんだ？）

「これがほんものの辛みだよ幸平ちん」

「この強烈な辛味と旨さのコンビネーション。定食屋の味じゃ絶対敵わないっしょ」

「そしてうちの連中はこの味を完璧に再現できるよう仕込まれてる…」

「この俺によってね☆」

「そっかー、やっぱり出店することにしたんだー」

「だろー？これしかねーと思ってさ。んでさ田所、久我先輩の料理のジャンルとか知らねぇか？
それがわかんねーと対策しようがねぇからさー」

「えっとね久我先輩は中華料理を得意としてる料理人だよ」
「へー中華か」

「ん？」

「ふんっ！」

「北条さん…」
「ガチダンクじゃねーか」

「えっ！？本当に良いんですか？ここって…」

「中華料理研究会の真ん前ですよ！？」

「！」

「空いてます？」

「は、はぁ…なにしろ中華研が強豪なので皆近くに出店したがらず…」

「そうっすか！いや～よかったよかった、あとそれと」

「料理のジャンルは、中華で行きます」

「！？」

「あの時みたいに久我先輩の中華目当てでやってきた客をまるごと奪う」

「俺自身の中華でだ。勝ちをかっさらうにはこれしかない」

「申込書受理しました」
「どうもっす」

「さーて舞台は整った。あの爆発的辛みに挑戦させてもらいますか！」

「幸平くん、模擬店について念のため確認だけど。」

「赤字を出したら退学だって知ってるわよね？」

「待ってたよソーマくん！月饗祭に我ら極星寮で参加しようじゃないか！」
「え…」

「若人達が団結し一つのものを作り上げる。学園生活最大級の華々しいイベント！」

「そう、これぞ青春！これぞ学生！さぁ、ソーマくんも一緒に！」

「あ、えーっとですね…それが…」

「なるほど個人で出店か。一緒にやれないのは残念だけど応援するよ」
「あざっす！」

「これは…」

「生米で鍋振りの鍛錬をしてるのか…」

「にしてもこいつらサイボーグかなにかか？こんだけ大人数の動きが完璧に揃ってやがる！」

「ハイハイ！」

「わんつーわんつー、いいよいいよその調子ー」

「ん？ちょっとそこ、もたついた！なにしてんの！」
「す、すいません師匠」

「ばか！そんなんじゃ本番でいい仕事できっこないわよ！」

「じゃ連帯責任ってことで追加30セット。はい、GO」
「せいせいせい！」