「空間が不安定になっているようです」
「全てセイレーンの仕業かしら…？」
「重桜のオロチ計画とエンタープライズが起こした謎の現象、無関係とは思えません」

「へくちっ！…寒い」
「みんなとはぐれちゃったね。早く艦隊と合流しないと…」

エンタープライズ『かつて世界は単純だった。私たちは戦うための存在で敵は外からの侵略者。そして人類は追い詰められていた。世界は過酷だったが戦いに迷いはなかった。戦うことと守ること。その二つは矛盾なく等しいものだった。けれど――』

「綾波たちは船だから敵と戦うのは当たり前なのです！」
「違うよ！私たちそんな単純じゃない！」

「大丈夫ですか？」
「ベルファストさん！」
「ここは危険です。行きましょう」

「私たちを取り巻く世界はいつからこんなに複雑になってしまったのだろう。共通の敵を前に何故か私たちは互いに銃を向け合って…
私は、なぜ…？」

「あの子達は泣くときはひとりぼっちで不器用なのです、二人共。あなたと似ています」

「繋がっている。私達は船の記憶を宿して生まれてきた。時の彼方の遠い海、数多の思いを紡いで。どうか忘れないで。あなたに宿る、人の祈りを…」

「姉さま！！」
「加賀先輩、重症です。無理をしないでください」

「赤城先輩の消息は未だ不明です」
「はぐれてた連中はだいたい合流したぞ」
「やはりグレイゴーストに…？」
「それと問題がひとつ。量産型セイレーンが機能停止、ね…」
「一隻だけでなく全艦。オロチとの接続が切れたのかもしれません」

「そもそもどうなんですかね、オロチ計画って。黒いメンタルキューブの正体もセイレーンを操る仕組みも私たち詳しく知らされてないですい。赤城先輩の結界？みたいな術もですけど。秘密が多すぎません？一航戦の先輩方、何を隠してるんでしょうねぇ？」

「だって…仕方ないでしょう」
「蒼龍姉さま…」

「あの重桜の子、気になるのですか？」
「見てたんですね…」
「はい。助けが遅れてしまい申し訳ありません」

「悩むのです。状況に流されるまま引き金を引いてはなりません。私たちの力はそんな軽いものではないのです。私たちは戦うために生まれてきました。滅ぼすためではありません」

「私はエンタープライズ様を捜索します。エンタープライズ様のおそばにいることが私の仕事です」
「ラフィーも手伝う」
「私たちもエンタープライズさんを探します！みんなで一緒に帰りましょう！」

「やるしかないのか…」
「ここで逃せば情勢はさらに悪化しかねない…」
「仕方ないさ。戦いだもの……」

「殿は私に任せて！加賀先輩の気持ち痛いほどわかるんだ。私だってお姉ちゃんがいなくなったらきっと耐えられないって思うから…」

「どうすればいいのか…綾波には分からないです…。でも…！」

「つくづく面白いわね、人類って。争いを恐れながら戦うことを選ぶ。度し難いほどに矛盾してるわ」

「彼女たちは人の想いと歴史を映し出す鏡。逃走こそが人類の本質よ。そう。戦いはいつの世も変わることはない」

テ「なぁに？拾ったの、それ？」
オ「えぇ。この子にはまだ役割があるわ」

「エンタープライズのおかげで黒いメンタルキューブは膨大な量のデータを獲得したわ。計画には十分なエネルギーよ」
「そう、ようやくね」
「オロチが目覚めるわ」

「グレイゴースト！」

「瑞鶴！」
「お姉ちゃん！！」

エンタープライズ「誰か教えてくれ。争いのない日は果たして来るのだろうか」
オブザーバー「その答えはあなたが一番よく知っているでしょう？」

「あぁ、そうか。戦いは、変わることはない」
「ごめんね、翔鶴姉」

「どうすればいいか綾波には分からないです。でも、これは違う！嫌なのです！！」

「行きなさい！」
「「はい！！」」

綾波「ありがとう…なのです…」