「マジでやるなんて聞いてないっすよユミコさん…！」

「ザマァないっすね。俺に助けられるなんて」
「コウタ…」

「俺はいい、その子だけは助けてやってくれ。じゃないと意味がない」
「私だってあなたを助けなきゃ意味がないの」

「今は封鎖地区から脱出することを考えましょう」
「わかった。まずバイクを修理したい。ギークに連絡取れないか…」

「あんま動きまわんなよ。奴らに見つかったらどうすんだ」
「…ごめんなさい。怪我」

「ったく。面倒なことに巻き込まれたもんだ。まぁ気にすんな。契約だからな。半分貰うぞ」

「高速で俺を助けてくれたやつ、お前が呼び出したのか？」
「分からない。でもあの人は知ってる。アキラ。お父さんの警護だった人」
「タマシイとして現れたってことは…」

「そうか。何なんだろうな？ロストって。未だに天才かどうかもわからないし。またいつ起こるかも分からない…。子供は寝る時間か？」
「バカにしないでよ」

「あと数分で封鎖地区の外に出られるわ！」

「あの組織は何なんだ？政府や警察は把握してないのか？」

「中に私たちも全容は掴めなかった。一つの巨大な組織というより特定の思想を共有した団体といったほうがいいわね」
「なんか気持ち悪い連中だったぜ。事務所も組む相手選べよなほんと！」

「所詮お前らの考えることだ」

「ユミコさん！！」
「…っ！行くぞ、コウタ…」

「話し合うつもりはないようね」

シズナ「なぜ組織に逆らった！？命に惜しくないのか！？」
ユミコ「あのまま言いなりになるくらいなら私は自由を選ぶわ！」
シズナ「あの男（タクヤ）のためになぜそこまで…！？」

「好きだからよ…！」

コウタ「あとは地上に出れば封鎖地区の外だ！！」
ユキ「あのユミコって人…！！」
コウタ「…大丈夫。常にみんなが助かる方法を考える人だから」

タクヤ「お前、少し変わったな。こんな割に合わないこと、昔のお前ならやらなかった」
コウタ「そうっすか？まぁどちらかを選ぶなら俺は面白いほうがいいかなって。あんたこそちょっと変わったんじゃないっすか？」
タクヤ「何がだ？」

コウタ「ま、分かんないならいいっすよ」

「事務所が変な方向行く前はさぁ、国絡みで結構デカい仕事任されててたんだぜ？」
「おい！」
「いいじゃん。あんたが無愛想すぎんだよ！でさ、そのミッション…」

タクヤ「どうした！？」
コウタ「あれ……」
ユキ「きゃああああああああ！！」

「先輩…行って…くれ…！」

「来い！」
「コウタさん！いやぁぁ！」

「なんで、なんで平気な顔して先に進めるの！？」
「…。！　あいつだ！」

「二人共乗って！！」

「そっちは封鎖地区だぞ！？」
「だってなんか変なのが追っかけてくるんだもん！スズメバチの大群みたい！何なんだよあれ！？」

「その間に二人で逃げてくれ！」
「ちょっと！正気なの！？」
「やめて！どうしてそこまで！」
「俺がそうしたいだけだ！」

「行くぞ！このスズメバチ野郎！！」

「何やってんだ！？お前が来たら意味ないだろう！」
「ごめんなさい！でもそうしたいと思ったの！」
「！…」

「少しだけ時間を頂戴！」
「こっちも分かってきたぜ…。つかまってろユキ！」

「やっぱりな。お前はこのナイフでしか攻撃しない。相当執着があるようだな」
「かえ…せ…！かえせ…！」

「アキラ！！」

「これであなたを守れます…」
「ありがとう。アキラ」

タクヤ「さっきお前、自分の意志で彼を…？」

「とうとう覚醒したか」
「？」
「これ以上書き換えない方がいいな…」

「ありがとな、助かった」
「私こそ」
「正直タマシイ相手じゃどうしようもない。矛盾してるが、契約を果たすにはお前の力が必要らしい。協力してくれるか？」
「私も…。お父さんが無事かどうかこの目で確かめたい」
「わかった」

「まずはユミコとコウタを迎えに行かなきゃな」