三玖（クラスの人たちが話してた。伝説はフィナーレの瞬間手をつないでなきゃいけないって。そうだ、風太郎の手は2本ある。両手に華で行こう）

『ゲホッ！ごめんね、咳が…』
「スキーしてないで安静に」
『せっかくウェアに着替えたのに』
「病人はベッド」

「お、一花か。やっぱり悪化したか。お互いツイてないな」
「！！」

「す、すぴーか！」
『三玖と風太郎くん、一緒なんだね。安心…かな。じゃあ私はもどるから二人にお願い。ひとりでいる五月ちゃんを見つけてあげて。本当は寂しいはずだから…』

「おかしい。ここに五月がいないとは…」
「失礼」

「風太郎！？汗すごいけど、大丈夫？？」
（やはりらいはから貰ってたか。という事は一花も…悪いことしたな）

「三玖と上杉さんみっけー！へへ！こんな所で油断してちゃダメですよ！」

三「一花！休んでてって言ったのに…」
一「ごめーん、捕まっちゃって」

「…四葉、五月には逃げられたのか？」
「いえ、探しましたが見かけもしませんでした」

四「私、先生に！！」
五「ちょっとまって、もう少し探してみようよ…」
二「なんでよ！？場合によってはレスキューも必要になるかもしれないのよ！？」

二乃「五月の命がかかってんの！気楽でなんていられないわ！！」

「あと少しなんだ…今日、どこかで……」

『上杉くーん！！！！』
「……俺に心当たりがある」
「心当たりって？」
「大丈夫だ、おそらく見つかる。一花、ついてきてくれ」
「！」

「あ、あれ五月じゃないか？今真下にいる女子だ」
「あの人？うーん、違うような…」
「だよな」
「え！？」
「だってあれどう見ても男（オッサン）だし」

「見つけた。お前は目が悪いから目がないと見えにくいだろう？」

「悪いな、大事にしちまって。言い出しづらかっただろう」
「いつから！」
「気づいたのはさっきだが、きっかけはあの時、お前が俺を上杉くんと呼んだからだ」

「一花は俺を名前で呼ぶ。いくら俺だってそれくらいはお前たちのことを知ってる」

「すみません、私、確かめたくて…」

「あの、上杉くん？！それはちょっと！……え？上杉くん？」

「お前たちがいても仕方ないだろう、一人にしてくれ」
「ちょっと冷たいんじゃない？！みんなあんたを心配して…」
「ということだ。早く行きなさい。これよりこの部屋は立ち入り禁止とする！！」
「「！！」」

三「風太郎、せっかく林間学校に前向きになってくれたのに一人でこんな寂しい終わり方でいいのかな…」

『外せない用事が出来たらしい、スキー場でたまたまあって頼まれたんだ』
『やっぱり彼だったんだ。嫌われちゃったかな…』
『いや………。悪い、元気出せよ』
『（一番元気のないあんたが言うなっての。少しは自分の心配しなさいよ）』

「相手がいないなら…踊ってあげてもいいけど？」
「えっ！？お、おう！！」

「治ってる」

「やっぱり私が風太郎くんに移しちゃったのかな」
「風太郎はずっとおかしかった。今にして思えばずっと具合が悪かったんだと思う。もっとよく見てあげてたら…。私も自分のことで必死だったから」

「ずっと気にしてた。みんなが風太郎とどう接しているのか。私だけ特別なんて平等じゃないと思ってたから」
「そんなこと…」
「でももうやめた。独り占めはしたい。この感情にい嘘は付けない。だけどそれは今じゃない。私は風太郎が好き。だから好き勝手にするよ。その代わり一花も、みんなもお好きにどうぞ（負けないから）」
「じゃあ行こう！」
「うん！」

「（私が一花のふりなんてしなければ…）四葉？」
「これ…上杉さんのしおり。ふせんやメモがいっぱい…。こんなに楽しみにしてたのに具合の悪い上杉さんを無理に連れ回して台無しにしちゃった。私が余計なことしたから…！」

「無駄ではなかったはずですよ」

「これ…本当かな？三玖は寂しい終わり方って言ってたけど、楽しかったのかな？！」
「さぁ」
「上杉さんに聞いてみる！」
「今からですか！？」
「こっそり行けば大丈夫だって！」
「ストレート…。私も、四葉みたいにできるでしょうか」

（四葉を見習ってみましたが先生が寝ている間に忍び込むなど大胆不敵すぎだったでしょうか！？だけど…彼を一人にさせてはいけない！）

（えっと、確かこのあたりにスイッチが――――）

四「えー！？みんな来てたの！？」
二「なんであんたたちがいるのよ！？」
三「二乃こそ意外」
二「私はよく効くお守りを仮想と思っただけ！」
一「私たちも風太郎くんが心配できたんだよね」
四「えへへ、なんか売れしーな！全員同じこと考えてたんだね！」
二「私は違うって言ってるでしょ！」

「上杉くん。みんなあなたに元気になって欲しいと思ってます。上杉くんがどんな人なのか私にはまだよく分かりませんが。目が覚めたらよければ教えてください。あなたのことを――」

《さぁ、キャンプファイヤーもフィナーレです。みんなでカウントダウンをお願いします！》

「なんだかお城みたい～」

スタッフ「なんでこんなことになってるの？」
スタッフ「本当ですね、手配ミスでしょうか」
らいは「わぁ、一日でこんなに着替えるんだ！」

「今日が特別な日だってわかってるのかな？いまから結婚するんだよ」

「懐かしい。まだ持ってたんだこれ…。結婚おめでとう。お兄ちゃん」

「おいこら。よう」
「上杉くん、おめでとう」

「なんだよ！俺だよ俺！覚えてないとは…」
「覚えているさ。前田だろ？二人ともね」
「…相変わらずだな」
「そうね」
「でも、あいつは俺たちをつなげてくれたキューピットだからな」
「林間学校の伝説か…。懐かしいね」

前田「そういえば知ってるか？上杉たちもあの時――」
風太郎（あの時のことは正直よく覚えていない。だが災難続きだった林間学校に不思議と嫌な覚えはなかった）

（結びの伝説。キャンプファイヤーの結びの瞬間、手を結んだ二人は生涯を添い遂げる縁で結ばれるというという。ほろ苦い思い出さえ幸福に感じるのは多分、みんながいたから）

「ずっと耐えてたんだね。私も周りが見えてなかったな」
「らしくないこと言ってないで早くいつもの調子に戻りなさい！」
「私たち五人が付いてるよ」
「私のパワーで元気になってください！」
「この林間学校、あなたは何を感じましたか？」

風太郎（今なら言えるかも知れない。あの時言えなかった一言。”そばにいてくれてありがとう”）

「風太郎くん」「上杉」「風太郎」「上杉さん」「上杉くん」
「「おはよう！」」

「そうだ！風太郎くんの復活祝いに放課後駅前のクレ…」
「もちろん勉強だよな！！？」
「っ！」
「あっはは…」

「風太郎、また勉強たくさん教えてね」

「みんなで勉強か～。頑張ろうね！」
「ちょっと、私はそんなの」
「だったら二乃以外のみんなで」
「さっ、参加しないとは言ってないでしょ！」

五「上杉くん、よろしくお願いしますね」
風「あぁ、期末試験に向けてビシビシ行くからな！覚悟はいいかお前ら！！」