「やっ、おっは～！」
「ん？…おす」
「あれ、冬服へのコメントなし？」
「一緒に登校しようと思って！」

「昨日ね、みんなに仕事のこと打ち明けたんだ。みんなびっくりしてたな～！」
「だろうな」

「でもスッキリした！」

教師「来週から中間試験が始まります。今回も30点未満が赤点とします。各自復習を怠らないように」

「五月！いや～！休み時間なのに予習してるなんて偉い！」
「は、はぁ？」
「家でも自習してるって聞くぞ！同じクラスだから分かる。お前は姉妹の中でも一番真面目だ！」
「そ、そうでしょうか…」
「あぁ！ただ馬鹿なだけなんだ！」

「だから意地張ってないで勉強会に参加して見ろよ！きっとお前でも成績アップでき…」

「二乃！俺は諦めないぞ！祭りの日、一度付き合ってくれただろ！？考え直してくれないか。なんならお前の家でもいいんだぞ！後一回だけ、一回だけでいいから！お前の知らないことたくさん教えてやるよ二乃！必ず満足させてやる！」
「誤解されるでしょうが―――ッッ！！！！」

「中間試験まで一週間！徹底的に対策していくぞ！！」

「あなたに電話を取り次げとの事です」
「俺に？」

「もしもし…？」
《上杉くんかね？娘達が世話になってるね》

風太郎「おっ！？お父さん！初めまして！お世話になっております！」
父《きみにお父さんと呼ばれる筋合いはないよ》
五月「あなたにお父さんと呼ぶ筋合いはありません！」

《中々顔を出せなくて済まないね。どうだい？家庭教師はうまくいってるかい？》
「え、えぇ！まさに今行ってる最中です！みんないい子で――この調子なら問題ありません」
《それは良かった》

《近々、中間試験があると聞いたから順調そうで何よりだ》

《少々酷だが…ここで君の成果を見せてもらいたい。今度の中間試験、5人のうち一人でも赤点を取ったら君には家庭教師をやめてもらう》

風太郎「そんな！考え直してください！いくらなんでも焦燥では！！？」

「…父からなにか言われましたか？」
「せ、せけんばなしをしただけだ」
「それだけでその汗の量ですか？」

「（こいつなりに頑張ってるんだろうし…）どうだ五月、分からない箇所があったら教えてやるぞ」
「なんですか！？わたしが信用できないのですか！？」
（あぁぁ怒っちゃった…）
「あなたに教えは乞わないと言ったはずです！」
「お前は真面目な割に要領が悪い！俺を頼ってくれれば分かりやすく教えてやるよ！」

「一花や三玖を少しは見習えよ！」

「あなたは忘れてるでしょうが私は最初にあなたを頼りました！それを拒否したのはあなたでしょう！？いやいや相手されるなんてごめんです」
「だったらお前一人で赤点回避できるっていうのかよ！？」
「できます！たとえ今度の中間試験には間に合わなくても…」
「それじゃダメだ！今回赤点なら次はない！これも仕事なんだ、わがまま言ってないで受け入れろよ！」
「わがまま言ってるのはあなたでしょう！？」
「お前だって成績上げたいだろう！？だったら黙って俺の言うこと聞いてりゃ良いんだよ！！！」

風太郎「！　いや、今のはっ…」

「…あなたの事を少しは、見直していたんですが」

「所詮、お金の為ですか」
「何が悪い？仕事じゃなきゃ誰がお前みたいなきかん坊の世話を焼くか！」
「無理してもらわなくて結構！私はあなたの金儲けの道具じゃありません！」
「そうかよ！後悔しても知らねぇからな！？」
「えぇ！たとえ退学になっても、あなたからは絶対に教わりません！！」
「お前にだけは絶対教えねぇ！」

（なんであんなこと言っちゃったんだ～～！？クビがかかってるんだ！仲違いしてる場合じゃないだろう！？）

「休憩終わり！さぁ勉強の続きを始めるぞ！」
「えぇ～今日はもうたくさん勉強したしー」
「もう頭がパンパンですー！」
「無理はよくない」
「それはそうだが…！」

「風太郎、なんかいつもより焦ってる？私たちそんなに危ない…？」

「いや、その…！……実は…」
「あ～！なんだ勉強サボって遊んでるんじゃない！アンタ変わりなさいよ」

三玖「風太郎？実は、何？」
風太郎「あ、あぁいや、何でもない！！（あの事が二乃に知れてみろ、火を見るより明らかだ！）」

二乃「今日のカテキョー終わったんでしょ！？帰った帰った！」
風太郎「ちょっと待て！二乃！（マズイ、これじゃ何も解決できないまま…）」
一花「ちょっと風太郎くん！約束が違うじゃん。今日は泊まり込みで勉強教えてくれるって話でしょ？」
風&二「「え…？え～～～～～！！？？？」」

（なんにせよこれで光明が見えてきた。時間さえあれば…！）

「上杉くん、五月です。あなたから私に話したいことがあると一花に言われたのですが。なにか御用でしょうか？」
「俺が？そんなこと言ってないけど…」
「そうですか…？それでは」
「あぁ、うそうそ！よく来てくれた！」
「話したい事とは、なんでしょう」

「昨日は悪かった。焦って感情的になっちまった。俺に家庭教師をさせてくれ」
「何があったんですか？」
「俺たちの誰かが赤点を取ったら俺は家庭教師を辞めさせられる」
「そうでしたか…」
「五月！？何開けてんだよ…」

二乃「赤点を取ればクビ、ね？良い事聞いちゃった」

四葉「上杉さんお風呂長いね」
一花「きっと…美少女達の残り湯を堪能してるんだよ…！」

「あ、上杉さん！おかえりなさーい！」
「待たせて悪かったな、早速試験対策を…」

（どうする、赤点で解雇なんで二乃にとっては好都合！絶対に勉強に勤しまない！勤しまないことに勤しむに決まってる！！二乃のやつ…！）

「あぁ！答えてやるぞ！なんでも聞いてくれ！」
「教えて欲しいこと…。好きな女子のタイプは？」
「え？」
「「「！」」」
「それ…いま関係ある？」
「はいはーい！私は俄然興味あります！」

「そんなに知りたければ教えてやる！俺の好きな女の子の要素トップ3！ただしノートを1ページ埋めるごとに発表します！」

「はい！できました！」
「では第3位は！ジャララララララ～～～～ジャンっ！”いつも元気！”」
「はい、できた」
「第2位は！ジャララララ～～～ジャンっ！”料理上手！”」

「終わったよ！」
「よし！第1位は！ジャラララララララ～～～～ジャンっ！」

風太郎「お兄ちゃん想い、だ！！」
二乃「それあんたの妹じゃん！！」

「なんだよ二乃、盗み聞きするならお前も一緒に」
「きっ、聞きたくなくても耳に入るわよ！」
「あ、おい！」
「らいはちゃんだったなんて～！頑張ったのにずるいです～！」
「真逆…」
「俺のスタンスは前にも言ったろう。恋愛なんて…」

「あ、すご！三玖もう課題終わらせてる！」

「風太郎くん、頑張った人は褒めてあげないと。はい、頑張りました～！よしよし～！」

「どう！？ドキドキしないっ？」
「別に」

「風太郎くん、みて、星が綺麗！」
「は？」
「ちょっと休憩しよ。おいで」

「五月ちゃんと喧嘩でもしちゃった？」
「いつものことだ」
「だね。風太郎と五月ちゃんは顔を合わせるたびに喧嘩してる。二人は似た者同士だから」
「お前が言うか？」

「でもね、今日はいつもと違う気がした」

「二人には仲良く喧嘩してほしいな」
「矛盾してる…」
「そう？あの子も意地になってるんだと思う。風太郎くんは違う？」
「っ！」

「昔から不器用な子だったから、素直になれないだけなんじゃないかな…。きっと今も一人で苦しんでる」

「私にやれる事はやってみるけど、風太郎くんにしかできないこともあるから。お願いね」
「…なんだ。ほぼ同時に生まれた五つ子には関係ないと思ってたんだが」

「ちゃんと長女してんな」

「…何この手」
「なっ！お前がやったほうが良いって言ったんだろ！？」

「もう寒いから中に入るぞっ！」

「じゃあ私のベッド使っていいから」

一花「んー…？どうした？」
三玖「トイレ…」

「あ・・・・・・・・・・・・・・・？なんでぇ！？？？」