「ケニー・アッカーマンを発見しました！」

「察するに彼はアッカーマン家の末裔…ではなかろうか。であれば…私に刃を向ける理由は彼自身にある」

「あぁぁクソッ！！許してくれよぉ～！あんたホンモンの王様なんだろぉ～！」

（圧倒的な強者を前にした俺は脆かった。なんせ文字通り握り潰されるのは初めてだし暴力がすべてだった俺はその支えを失っちまったんだ）

「我々がアッカーマン一族にもたらした迫害の歴史を考えれば君の恨みはもっともだ…だが私は今…死ぬわけにはいかないんだ。どうか許してくれ。こんな小さな壁の中にさえ楽園を築けなかった愚かな私を…」

（あれほどの力を持った王が下賤を相手に首を垂れやがる。巨人にも度肝を抜かれたがそれ以上に自分の中の何かが大きく揺らいだのを感じた）

（俺はその場で「力になりたい」と伝えウーリは頷いた）

「おいおい勘弁してくれよ。わからねぇのか？名前は？」

「リヴァイ。ただのリヴァイ」

「俺はケニー…ただのケニーだ。クシェルとは知り合いだった…よろしくな」

（こいつを見殺しにできるほど人を捨ててねぇが親に代われるほどできた人間じゃねぇ。俺が教えられることは多くねぇが…まずはナイフの握り方）

（要はこの地下街で生き延びる術を教えたまでだ）

『ケニー…この世界はそう遠くない未来必ず滅ぶ。そのわずかな人類の黄昏に私は楽園を築き上げたいのだ』

（ロッドの娘も人々の愛がどうしたとか平和がどうのこうのとか似たようなことをほざいている。どうしてお前はそんな暇なことを言ってられる？お前に力があって余裕があるからか？）

『俺はケニー・アッカーマン。切り裂きケニーとかいうダセェ呼ばれ方もしたな。おめぇらみてぇな憲兵のエリートの喉を飽きるほど掻っ切ったりしてきた罰なんだが…』

『構いません。壁が破壊されて２年…巨人の相手は諦めて人間と残された領土を巡り争い合う。それが我々の存在意義ですね？』

（神にも等しい力だ。それを手にした奴はみんな慈悲深くなっちまうらしい…こんなクソ野郎でもそうなっちまうのか？知りてぇ…一体どんな気分なんだ？そこから一体どんな景色が見える？なぁ…？ウーリ）

「俺は…死にたくねぇし力が欲しかった…でも…そうか…今なら奴のやったこと…わかる気がする…俺が…見てきた奴等…みんなそうだった…酒だったり女だったり神様だったりもする…一族…王様…夢…子供…力、みんな何かに酔っ払ってねぇとやってられなかったんだな…みんな…何かの奴隷だった…あいつでさえも…お前は何だ…？英雄か…！」

「ケニー！知っていることをすべて話せ！初代王はなぜ人類の存続を望まない！？」
「知らねぇよ…だが…俺らアッカーマンが…対立した理由は…それだ…」
「俺の姓もアッカーマンらしいな？あんた本当は…母さんの何だ？」
「ハッ…馬鹿が…ただの…兄貴だ…」

「あんな小さな体で我々を巨人から救ったのか…」
「影の王である父親の暴走を自らの手で鎮められたのだ！」

「ヒストリア女王ー！」

『私が巨人にとどめを刺したことにしてください！そうすればこの壁の求心力となって情勢は固まるはずです！』

「あははは！どうだー！私は女王様だぞー！？文句があれば…」
「ふふ…お前ら。ありがとうな」