「これが…シリウスの匣…」

「こんなもののために…人間やヴァンパイアは死に物狂いで探し父さんは命を懸けて封印したんだ…！僕一人でケリをつける。シリウスの生き残りとして」

「待てよユーリィ！一人で突っ込んでおっ死ぬのは勝手だがな。匣は置いてけよ」

「いよいよ化けの皮を剥がしたか…英国秘密情報部」

「この匣には世界が注目している。俺様が一番乗りだったってわけだ」

「あんたは狩人でも、ましてやもう英国のスパイでもない」

「ヴァンパイア！？」

「じゃあヴァンパイアとわかっていてなんで俺と組んだ？」
「あんたの目だ。仲間を助けられなかった後悔と自分だけヴァンパイアになり生き残ってしまった罪悪感」

『俺はエフグラフより先に匣を見つけて奴の目の前でブッ壊し奴もブッ殺す』

「あの時のあんたの目に嘘や偽りは微塵も感じられなかった。信じてみようって思える目だったんだ」

「一人でかっこつけてんじゃねぇよ。俺にもケリをつけさせろ」
「…わかった。力を貸してほしい」
「ヴァンパイアと手を組むってことか？」
「ヴァンパイアとじゃない。ビショップとだ」

「ほらユーリィ見て見て！兄さんも連れてきたよ！」

「匣を…わたせえぇぇー！！」

「父さんの目指した新たなシリウスの誇りの形を…僕が証明する！」

「ユーリィ！なぜ来た！？お前は！シリウスのお前だけはここに来たら駄目だったんだ！なのになぜ！」

「匣はシリウスの誇りだ！封印すべきものじゃない！一族の誇りと共に在るべきものなんだ！だから僕はこの世界と向き合う！そう決めたんだ！！それが匣と共に生きる事…父さんとの約束なんだ！」

「俺だって約束した！お前を絶対守るって！！シリウスとか匣とか…どうでもいいんだよ！！お前は何もしなくていい…全部俺の役目だ！俺はお前の兄貴だ…ヴァンパイアになってもそれは変わらない…ずっとお前の事が気がかりだった…１０年間ずっと…」

「僕だって…兄さんの弟だ…大好きな…兄さんの…兄さんがこんなに苦しんでるのに僕だけ何もしないなんてそんなことできるわけないだろ！」

「そんなに長くは一緒にいられないんだ…ヴァンパイアのみが感染する死に至る病…これ以外に血の盟約から逃れる方法はなかった…」

「お前がミハイルの弟か。匣の封印を解いたこと、礼を言うぞ。ご苦労だったな」

「匣が永い眠りから目覚め５０００年ぶりにシリウスの叡智が顕現するのだ！」

「元々俺がお前から匣を奪ってしまったんだ…とり返さないと兄としての顔が立たないからな」

「Ｖ海運…ミスターウィラードか！」

「ユーリィさん！私信じてます！御武運を！」
「ありがとう！涼子！」
「え…今…名前を…？」

「…私が…私こそがシリウスの…否…！ヴァンパイアの匣となるのだ…！」

「天蓋は今開かれた」