「テレサの写真は？」

「これです！」

「石？」
「ペンギンが笑ってるみたいで可愛いでしょうっ？」

「これは皇帝ペンギンだね！」
「そうなの！校庭で見つけたの！」
「お見事、阿吽の呼吸です」

「ペンギンて分かるんだ…」

「シャルル！どうしてここに！？」

「ラルセンブルクの未来の女王、テレサ・ドゥー・ラルセンブルク姫を追いかけて参りました」

「なーんてね！」

「大学も休みになったから僕もテレサの憧れる日本を見てみたくなったんだ」

「お仕事はっ？」
「パソコンとスマホがあればどこにいても大抵のことは出来るからね」

「綺麗なお花…」

「新しく作ってもらったテレサプリンセスオブラルセンブルクだよ。花言葉は愛の誓い。素敵でしょう？」

「愛の誓い…」

「ありがとうシャルル」

「高校を見学したい？」
「ただの幼馴染って紹介してくれればいいから。本当のこと言うと色々面倒だろ？」

「分かりました。手配します」
「ありがとう」

「じゃ、また明日」

「ひと雨来そうだな…」

「帰るか」

パシャッ

「多田君！？」

ザァァァ――…

「こっちだ！」

「大丈夫か？」

「！」

「はい…」

「風邪、引くから」

「…ありがとうございます」

「前にもこんな事があったな」
「え？」
「初めて会った時」

『どこに行くんだ？』

『え？』
『送るから』

「そういえば…こんな風に雨で」

「あの時も多田君に助けてもらいましたね！」

「やっぱり多田君はれいん坊将…」
「雨男じゃないぞ」
「へ？」
「あ、もしかして雨女？」
「違います！」

「あ、でも子供頃ピクニックの頃はいつも雨だったかも…」
「それだな！」

「えぇ！私ですか！？」

あははは

「はいはーい」

「みんなこっちこっち！」

「こ、こんなところに来て大丈夫なのか！？多田！？」

「多分…はい」

「ネクタイはこれでいいのか？」

「大丈夫です」

「おお」

「お前もどこかの女将みたいな格好してきて良かったな」

ゴスッ！

「ほへ～！まじでめっちゃセレブなパーティーなんすね…」

「山下、あっちに肉がたくさんあるぞ」
「まじすか！？最高っす！」

「って、あれ？」

「あれってシャルルさんじゃないっすかね？」
「え！？どこどこ」
「ほら、奥の方」
「あ！本当だ！」

「一緒にいるのは誰だ！？」
「彼女じゃないっすか？」
「え二人も！？」
「けしからん！モテすぎだろう！なっ多田！」

「いや、あれは…」

「てててテレサちゃんとアレク！？アレク！？」

「美しい…」
「えぇ…」
「まじっすか…」
「てかなんでここに！？」

「多田君…！？」

「どれも素敵な写真だね」

「でしょ！？写真の撮り方も教えてもらったんですよ」
「楽しそうだね」

「ん？これは…」

「俺が撮った写真だけど」

「なっ、なんだよ！？」
「――なるほど」

「写真も格好いいけど実物のほうが断然格好いいね！伊集院くん」

「だろだろ～！？俺の魅力には写真には収まりきれないんだよ～！分かってんじゃんシャルル～！」

「伊集院先輩、褒められたらころっと変わりすぎっす」
「全くだ！」

「この動物たちも、いい表情をしているね」

「僕が撮った写真ですけど？」

「撮影した人の努力を感じるよ！」

「おおシャルルさん！！分かるっすね！嬉しいっす！あざーっす！」
「お前もか」

「これもとても綺麗な風景だね」

「当然だ…それはHINAがグラビア撮影した場所。すなわち聖地なのだから！！」

「HINA？」
「彼が大好きなグラビアアイドルのことです」

「あれ？彼女…」

フッ

「何がおかしい？」

「失礼。確かに彼女は女神のように美しいね」

「流石テレサくんの幼馴染君はお目が高い！大変立派なお方だ！フハハハ！」