「よく戻ってきた！！」

「ありがとう」
「システィナ平定お見事！」

「ラウラ先輩！？」

「自害されたと聞いていましたが…」
「ヘルガの毒のおかげでね。死なせてもらえなかったわ」

「今はエドキア様に仕えているの…」

「あー…」

「テオ。俺はこの会議で従属を申し出るつもりだ」
「もう少し待ってくれないかな？」
「随分焦らしてくるな」

「最初に戦った時とはお互い立場が違うからね」
「爵位が高くなると面倒ばかりが増える」

「全くだよ」
「はははは！」

「とにかくアルトゥーク条約は我々3人で協力して倒さねばならぬ。菓子は一人で食べるより、こうして集まって食べる方が美味しいものだ」

「ふん」

コンコンッ
「入れ」

「どうした？」
「先ほどテオ・コルネーロが常闇の森の奪還を宣言しました」

「…急ぎアルトゥークに帰らせてもらう」

「ミルザー殿」

「くれぐれもテオ・コルネーロの力を見誤らぬように」

「承知」

「あなたはあの戦いで死んでいてもおかしくなかった。それでも私は最優先で治療させ、あなたを生かした。私の質問に答えてもらうために」

「あなたはディミトリアの城にいた魔女ね？あなたも極大混沌を目指すというの？」

「……」

「あなたは悪魔の召喚が得意なのよね？もしかしてデーモンロードを呼び出して――」

「大講堂の惨劇を引き起こしたのはあなたなの？」

「フンッ」
「エーラムの中心で同盟と連合の盟主を殺害するなんて、あなた一人で出来るわけない」

「組織の後ろ盾がないと不可能なはず。そうよね？」

「アアアアアアアアアアア！！！！！！」

「アハハハハハハハハハハ」

「ハハハハハハハハ」

「ア――――ハハハハハハハ！！！！」
ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛ

「――さよなら」

「テオ殿のシスティナでの活躍は本当に素晴らしい！だがそれだけに大陸にとどまっていたら…と思わずにはいられませんな」

「それはどうでしょうか？」

「不在であったテオ様に責任があるのなら、在地であった我々にはもっと大きな責任があることになります」

「責任を問うているのではない！英雄テオ殿の不在がいかに大きかったか指摘したかっただけだ！」

「ですが条約に属する君主でありながら王命との戦いより故郷の開放を優先させるというのは如何なものでしょうな？」

「今は責任よりも、この会議で話し合うべきは条約の将来についてでしょう」

「もっとも、アルフレード様は何方が盟主になるのかを気にされているようですが」
「なっ…」
「エドキア様には何かご意見がおありですか？」
「私はこのままラシック殿に指揮を取っていただきたいものですわ」

「今私のハマーンはスタルクに入植したノルドの襲撃を受け続けています。彼らに金品を与えることで侵略を防いでいますが、まもなく国庫は尽きるでしょう…」

「そうなる前に、まずはラシック殿を盟主とする今の体制を強化し、ミルザーに対抗すべきではないのかしら？」
「そうですね」
「うむ」

ニヤッ

「ご意見はごもっともです」

「確かに今、盟主を変えるべきではないと私も思います」
「え？」
「そして先ほど、アルフレッド殿が言われたように君主たちが亡くなられた責任は私にあります」

「認めちゃうんだ…？」

「それ故私はアルトゥークに進行し、ダルタニア大主ミルザーを討つ事をこの場で誓いたい！」

「無論、私一人では無理です。皆様の力もお借りしたい！」
「テオ様が先頭に立ってミルザー大主を討ち、アルトゥークを取り戻すということでしょうか？」
「ヴィラール様の弟君であるセルジュ様に認めて頂けるのなら、ですが…」

「私ではミルザーに勝てない。それは分かっているつもりだ」

「認めちゃうんだ！？」

「勿論それだけではないが…」

「セルジュ殿に異存がないなら問題はありませんな」

パチパチパチ―――…

「いつもそう」

「みんな私を利用するだけ利用して捨てていく」

「お前たちの思い通りに済んでやるものか！！私の魂を捧げる！デーモンロードリリス！！」

ゴォッ！！！

「まさか一人でデーモンロードを！？」

「こ、これは！」
「大講堂の…」

「惨劇…！」

「これで終わりだと思わないことね！地獄でお前たちが堕ちてくるのを待っていてあげるわ！！」

きゃああああ！！！