「これで私の役目も終わったかな…。ていうかココロちゃんさんもいつの間にか消えてるしどこ行ったんだろう…」

（そういえばこのまま家帰るの？私）

（なんでこの2人がここに！？いつから！？まさか身バレ！？いや大丈夫！なんだかんだでさっきは桃拾ちゃんも誤魔化せたし！）

「どうしたんだい！？ここは危ないぞ！この正体不明の魔法少女（男）に任せて君たちは…」

「いや、さきだよね」

「デスヨネー！ど、どの辺から見てたの…」
「割と最初から」

「詳しく言うと、やっぱり心配で…」

「さきの家の前で待ってたら急にさきが飛び出していって、いきなりお兄ちゃんへの愛を叫んでいるところを…」

「本当最初からだねそれ…」

「うぅっ、うっ…！」

「あとマネージャーに至ってはなんで泣いてるんですか？カメラまで持って」
「いやぁ、感動してっ…」

「は、はぁ」

「実は俺、魔法少女オタクでさ…この目で生魔法少女を見られたのがもう嬉しくって嬉しくって！！本当にもうっ！！」
「マネージャー」
（このタイミングで最悪なカミングアウトが始まった…）

「僕は断然君を応援するよ！僕は君のサポーターとして！いや、マジカルマネージャーとして協力させてくれ！」
「えぇ！？」

（まっずい！新しい役職まで作り始めた）

「勿論アイドルはこのまま続けていくよ！あぁ、ひとつだけ忠告するけどアイドルは恋愛禁止！咲世ちゃんのお兄さんへの想いは僕の胸の中だけに閉まっておくからね！」

「だから君は今までどおりアイドルを！そして今日から魔法少女として頑張ろう！僕と一緒にね！」
「そこだけは涙流して覚えてるのね…」

「で、でも2人に迷惑かけられないし！こんな格好だし…」

「ねー？」

「かわいい」
「またも謎の好感触！！」

「魔法少女だから名前が必要だよね！ここはやっぱり本名売りで魔法少女さきとか？」
「俺の正体バレッバレでしょ！」

「それ！頂き！」
「え？」

「魔法少女俺！どう！？いけるでしょ！！」

「俺…？」

「俺ぇぇぇぇぇ！？？」

「よーし！今日は魔法少女俺の誕生日を祝して飲み会だぁ！！」
「おーう」
「この格好のままで？」

ピチチ…

「はぁぁ～、爽やかな朝だなぁ。昨日のことが嘘みたいな…」

（しかもやっと元の姿に戻れたと思ったら酷いナイトメア見たし）

（まさか正夢に…！？いやいやいや！深く考えないことにしよう）

『あら、今日は早いのね』
『うん。ちょっと咲世に話したいこともあって…』
『でも朝ごはん抜きはいけないわ！顔色も悪いし今日はさっぱりしたものを持って行きなさい』

じょばばばば

「いただきます」

「ヨッシャア！元気100倍！」

にゃ～ん！

にゃ～ん！

「行ける…かも！」

「にゃんっ！」

ガシッ

ドゴォッ！
「にゃ～～ん！！」

「はぁっ、はぁっ」

「もうっラチあかない！何かないの！？敵を一気にバーンとやっつけるマジカルアイテムとか！？」

「その髪留めのピン抜いて投げろ！」

「おうともよ！」
ブンッ

コツンッ
「にゃん？」

（別に普通のヘアピンだよね…？これを投げたら敵を浄化するとか…）

「！！！」

「マジカル手榴弾や」
（893武器だぁぁ！！）

「あの…もっと地味なやつを…」

「このマジカルチャカで。この数は無限大やぞ」

「もっと！もっとマジカル初心者向けのお願いします！すいませんビギナーなんでお願いします！お願いします！！」

「ったく！魔法少女やなかったらとっちめてるとこやぞオルァ！」
（修羅の道すぎるよ魔法少女！）

「！」

「おお～！マジカルっぽい！」

「でもいきなり爆発したりビーム出たりとか…」
「危険なことは何もせぇへんから安心せいオラァ」

（これなら私にも！）

「覚悟しろよ妖魔たち！この魔法の餌食にしてくれる！！」

にゃっ！

にゃー！

にゃ？
（本当になんもねぇ）

「あの、これ何か機能とかは？」

「ただの棒やからの」

「どう使えばいいんすか？」

「殴るしかないやろソレで…。敵も動き出しとることやし何事も一歩踏み出してみることが大事やと思うねんワシャ」

「頑張れ魔法少女！根性見せてみぃ！」

うわああああああああ――――！
にゃ～～～～～～ん！！！

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

「こ、こんなの全然マジカルじゃないよぉ！」

「ファンシーなのは威力以外ってのがこの業界の鉄則や…どや？マジカルやろ！？」

「厳しい！厳しすぎるぅ！！」

「さき！」

「桜世！？何してるの！危ないよ離れて！」

「あと今の私をあまり見ないで…」
「嫌だ！」

「えっ、嫌なの…？」

「兄さんを守るのがさきならさきを守るのは私だから！」

「さっきはごめんね」

「違うよ！謝るのは私の方だよ！咲世のことも考えずにごめんね。でも咲世のこともすごく大事だから！だから桜世に危ないことして欲しくないよ！」

「私なら大丈夫。だから逃げて…」

「ありがとう、桜世」

「さき……」

（この感じ！）

「オイそこのおっぱい！お前できんのか！？」
「！？」

「…」

こくん

「え？」

「ならば叫べ！お前のラブパワーを！！」

「私は――」

ザンッ！
にゃあああああ～～！

「は…！？」

「私は」

「私はさきが！好き！！！！」

「……へ？」