「これが駄菓子界のキングオブイタリアン！ペペロンチーノ！」

「さぁ！サヤ師！」
「う、うん…」

「おいしい！！」
「でしょう！？」
「おお！」

「確かにおいしい。でもこの味、なんか知ってるような…」

（あ！あれだ！カップ麺の塩焼きそば！）

「パスタじゃねぇぇぇ！！」

「ふっ、気づいてしまったわね。流石はサヤ師。」

「この袋、よく見て頂戴」
「パスタ風！？」

「そう、風よ風！さらにラーメン風もあるのよ！」

「粉末スープを全部入れてお湯を捨てなければラーメン風になるというわけ！」

「何でもアリかよ！すごいな”風”！」

「ビッグカツ…とんかつ…。ほたるさん」
「ん？」

「ビッグカツって、豚肉じゃないですよね？魚肉…」

「とんかつ風！”風”よココノツ君！！」
「痛いです」

「とはいえそれを語るにはビッグカツ誕生秘話に触れないわけにはいかないわね」
「誕生秘話？！」

「ココノツ君、実はビッグカツの始まりはイカよ」
「イカ！？」

「製造元の会社はイカ原料単体の商品を開発していたけれど、降ろしてくれるサプライヤーが見つからなくて困難したわ」

「あの…」
「でも彼らは諦めなかったわ！」

「今度は魚肉に目を付けこれを開発したの！」

「魚肉のすり身をシート状にしてタレに漬け込んだ、あまのしイカ風甘たらっ子」

「タレに付けずフライにしたイカ味天！」

「あの、ほたるさん？」
「どちらも素晴らしく、私はだーい好き！」

「でも当時の開発者たちは満足しなかった。本物のイカを超えるにはどうすればいいんだ！？ってね！」

「…！？」
「何？」
「いや、のしイカ風駄菓子でのしイカを越えようと？」
「そうよ」

「試練は続いたわ」

「雨の日も風の日も、血が滲み涙が溢れても彼らは決して諦めなかった！」

「更なる高みを目指すために！」

「そして！」

「そして！？」

「とんかつならイケるかも、ってビッグカツができましたー」
「なんで！？？」

「なんか美味しいの食べたいー」

「カレー、お寿司、とんかつ…」

「今なぜかほたるさんを呼び出す言葉を発したような！！」

「召喚…。召喚の呪文みたいな…」

「ほっ、ほたるさん！！」

「待たせたわ――」

「ねっ…」

ガツンッ

「言ったわね…ココノツ君っ…」
「走ってきた！？それも我慢してた！？」

「とうとう来たわよこの時が！」

「何度も今日のテーマにしようと思っては、タイミングが違うかなーっ？って出し惜しんでいたけれど…」

「今日ついにココノツ君によって召喚される駄菓子揚げもの界のレジェンド！黄金の衣をまとったキングオブフライ！」

「ビッグカツ！！」

「ビッグカツ…」

（あっ！召喚呪文”とんかつ”かー）

「もーっ。なかなか言わないものだからヤキモキしてたのよ～」
「なんで僕待ちなんすか？」

「というわけで！！」

「まぁ一応ね、一応やっとこうってね」
「え？何恥ずかしがってんすか？そのお茶碗持参ですか？」

「こういう駄菓子は本物でないところに魅力があると思うし！だってビックカツはごはんと食べなくても美味しいし！」

「イカ味天食べて本物のイカ天のほうがいいなとはならないでしょう！？まぁ悩んだ結果ビックカツが生まれたならそれはそれで嬉しいけど…」

「さすがねココノツ君」
「なっ！？」
「この～！駄菓子の天才～」
「はぁ？」

「希望の星！シカダ駄菓子の後継者！」
「なっ！」

「才能の有効活用！やーい！」

「お前の父ちゃんYouTuber～！！」

「蛍さん…YouTuberだけはやめてほしいっす」