「おいお前ら、ちゃんと反省した？」

「見ろよ！チョロ松こんなんなっちゃった」

「コン…ハズジャ…コンナハズジャナカタ………」

「さっきからうわ言が止まらないんだ。このままじゃ、死ぬかもしれんぞ」

「はい、ちゃんと謝って」
「………」
「悪いのはお前らだろ！ほれ！」

「っ………」

「ご、ごめんなさい…」
「ごめんなさい…」
「ちょっと悪ふざけが過ぎました…」
「もう永久に髪染めろとか言いません…」
「さーせんした」

「よしっ！じゃあ銭湯行こう！」

「ったく～、やっぱり俺たちがちゃんと目を光らせていないとダメだなおそ松」

「今年も2トップとしてあいつらのことを引っ張っていこうぜ！」
「ああ、よろしくなカラ松！」

「！」

「すいませんしたぁぁぁぁぁっ！！」

「おらああああああああ！」
「うらああああああああ！！！」
「○ねぇぇぇぇぇ！！！！」

「まぁその～、みんなの言いたいことは分かるよ？」

「兄弟の中で一番真面目で一番優等生で、みんなの見本となるチョロ松兄さんが年が開けた瞬間急にどうしちゃったんだろう？と。もしかして不良になっちゃったの？って不安になるかもしれない」

「でもね、いくら真面目でも僕だって人間なんだよ。やっぱり心のどこかにモテたい、かっこよくなりたいって願望があるわけ」

「だから今回はその願望に素直に従って格好良くなってみたんだ。年も明けたし、デビューするには丁度いいタイミングかなって」

「2018、NEWチョロ松兄さんだよ！」

ジュルルルルルルッ

どんっ

「ん？どうしたの。何その顔？」

「ああ、もしかして嫉妬してる？そっかそっか、なんかごめんね。自分だけ格好良くなっちゃって！確かにに抜けがけはズルいよね。反省反省！あっはは」

ゴリゴリゴリ

「てか、さっきからみんな一言も喋らないね。どうしたの？まあいいや。続けるね」

「でもさ、不安にはならないで欲しいんだよ。茶髪にはなっちゃったけど中身は僕のままだから。不良じゃないから。今までどおりみんなのことを引っ張っていく真面目な良きお兄ちゃんだから。安心して。今日はそれをみんなに伝えたくて集まってもらったんだ」

「じゃ、行こうか」

「ちょちょちょ、待って待って！！」
「ん？なに？」
「座って！？」
「うん」

「なに、どうしたの？」
「いやあの―…」

「だから不安にならなくて大丈夫だって。髪が茶色になっただけ。中身は僕のまま！不良じゃないから！」

「いやそこは大丈夫。その部分はもう理解したから。そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて？」
「そうじゃなくて…」

（単純に）
（シンプルに）
（その茶髪)

（全然似合ってないよ～～！！！）

《次回の実松さんは》

《おそ松の問診、カラ松の触診、十四松の総回診》

《次回、実松死す。お楽しみに》

「おそ松兄さん」
「お、きたね」

「どうしたの？」
「座って」
「うん」

「なぁ実松」
「ん？」
「お前、最近本当よく笑うようになったよね。兄ちゃん安心だよ。ほら、ちょっと前まで暗い顔ばっかしてただろ？辛いこと多くて」
「あ、うん…」

「でももう大丈夫！今はすっごく楽しいもん。みんながいるし辛いことなんてないし。ずっとずっと、こんな時間が続けばいいなぁ～」

「――それは、無理なんだ」

「え？無理って…何が？」

「俺の口から言わせないでよ。それは、お前が一番分かってるはずだろ？」

「…そう、だね…」

「あぁ～～、楽しかったなぁ～！」

「うん。楽しかったね」

「楽しかった…」
「うん」

「まさか…」

「実松…さん…？」

「いやああああああああああああああ！！！！」

「あれ～？お前ら来てたんだ」

「おお二人共。たまたま？」
「えぇっ！？」

「お前何その頭！全然似合ってないよ！バカじゃねぇの！？クソダサい！どうした！？」

（うわあああああ！！）
（普通に言うし！）
（デリカシーの欠片もない！）
（コイツの場合は年が明けてもなんの変化もない！）

「ふっははははは！！なんだよこの頭～ばっかみてぇだなぁ～！」

「いやこれは違うだろおそ松！」
「あ？」
「こんな頭自分でやるわけない…きっとなにかの罰ゲームをやらされているんだ」
「罰ゲーム？」

「そうだろお前ら？お前らがチョロ松に命令したんだよな！？」

「え？」
「じゃなきゃなんで自らこんな頭にするんだ！チョロ松というしっかり者が自分からこんなクソダサいクソ似合ってない茶髪にするか！」

「もし自分でやったんだとしたら完全に常軌を逸しているぞ！生物として底辺すぎるぞ！だがチョロ松という男はそんな奴じゃない…」

「おいお前らやりすぎだ！こんな馬鹿な頭にさせてごめんねってちゃんとチョロ松に謝れ！」
（いやお前が謝れ！！！）
（なんやかんやで結果お前が一番傷つけてる！！）
（悪気がないだけ余計タチが悪い！）

「あれー？みんなどうしたの？」

「トト子ちゃん！見てよこの頭！」

「えぇっ！？何その頭！イヤーン！クソダサいじゃないチョロ松くん！とりあえず茶髪にしとけみたいなノーセンスな人間性が透けて見える感じ？怖い怖い！」
「違うんだよトト子ちゃん」
「ん？」

「これはこいつらがやらせた罰ゲームなんだって。酷くない？」
「へー、ちょっと酷いね…。私だったら死んじゃうかも」

「チョロ松くん、大丈夫？」

（もうやめたげてぇぇぇ！！）
（シコ松のライフはもうゼロよ！！)
（兄さぁぁぁぁぁん！！！）