「城下町は行ったことある？」
「ありません」
「まぁ王族や貴族は平民の街になんてほとんど行かないわよね」

「坊やは？」
「魔法騎士団の入団試験を受けに来た時に通った時くらいっす！」
「じゃあ今日はしっかり楽しみましょう」

「ちょっ！あんまり触らないでよ！」
「仕方ねぇだろ。落ちろってのかよ？」

（なんか…妙に意識しちゃって…あぁもうっ）

そっ

「きゃあっ！！」
ドンッ

「何故だああああああああぁぁぁぁぁ」

「あ……」

「くっそ！また負けたフッハ！」
「ほっほっほ、わしには未来が見えるんじゃよ」

「フッハ…強ぇなあのババア…」

「ていうかこんなことやってる場合じゃねぇよ。仕事仕事…」

「仕事っつってもひったくり犯を捕まえるって…。そんなの魔法騎士団のやることなのか？でも逆らうと団長怖ぇしな…」

「文句あんのかテメェ？真っ二つにしてやんぞオラァ」
「ひえええ」

「フハァ！せっかく魔法騎士団に入れたっていうのに。ていっても翠緑の蟷螂団だしな…」

「毎日過酷な雑用三昧。いざ任務に行けば囮にされ死にかけるわ、便秘になるわ少しハゲるわ…フッハ。畜生…」

「ただいまー」
「みんなお疲れだったわね」
「ヴァネッサ姐さん、フィンラルさん」
「ヤミさん、魔法鑑識課に行ってきましたよ」
「おう、何か分かったか？」

「犯人はどこのどいつだ！？アジト見つけてカチ込んでやる！逃げた奴もボコボコにしてやる！」

「それがね…」

「鑑識が犯人の遺留品を鑑定したんだけどまだ何も」

「くっ！役に立たねぇ鑑識が！！」

「お前ら…物を…」

「壊すんじゃねぇぇぇぇ！！！！！」

「すいませんしたっ！！！」

「これから良い報告がある」
「良い報告？」
「聞きたいか？」
「もちろんです！」
「なんと、お前たちの活躍が魔法帝に認められ…」
「魔法帝！？」

「星一つ授与されたんだからな！」

「うおおおおおおマジっすか！よっしゃー！」

「やったー！！」

「へぇ」
「おめでとう！」

「で、星ってなんスか？」
「知らずに喜ぶんじゃねぇ！」
「星はね。活躍によって魔法帝が与えてくれるの」

「何の役に立つんスか？」
「そうね…名誉のようなものね」
「名誉！」

「そうだアスタ、名誉だ！男の勲章だ！！」

「女もいるわよ」

「男と女の勲章だァ！」
「意味が分からないわ」

「魔法騎士団はこの星の数を競い合ってるのよ」

「多ければ多いほど、その魔法騎士団が活躍してるって事だからね」

「ちなみに今トップは金色の夜明け団の70個」
「70！？」

「俺たちは？黒の暴牛はいくつなんですか！？金色には負けてられねぇ！」

「俺たちは」

ゴクリ

「これでキリよくマイナス30個だ！」

「マイナス！？？」
「はぁ！？」

「金色とようやくジャスト100差」

「100ぅ！？？」

「追いつき追い越すのに先長ぇ！ユノ～！！」
「ありえねぇ」

「これなんかどうかしら？魔力を安定させるのに使えそうよ」

「うーん…見た目がダサい…」
「まぁ試してご覧なさいよ」

「はっ！」

「フッハ！！！」
「あっ」

「そんな所を歩いているあなたが悪いのよ」

「おやおやこんな場所に。どうしたんだい？ブラックマーケットはあなた方のような美しいレディが来るような場所じゃない！フッハー！道に迷ったのかい？魔法騎士団のエリートのこの俺が！外に案内してあげましょう」

「失せなさい羽虫」
「ふぁ～あ…」
「フッハ！！」

「おーい！こんなおもしろアイテムがあったぞー！」

「あなた！まさかそれ買ってないでしょうね！？」
「喋るんだぜ！」

「買ったのね…」
「ほら！」
「ワレワレハ人間デアル」

「な！？」
「何がよ…」

（フッハ！こ、コイツは…！)

「あれ？お前は…フッハ！」
「セッケだ！」

「元気だったかフッハ！？」
「だから俺はフッハだっての！違うセッケだ！！」

「誰？」
「入団試験で一緒だったやつ」
「へぇ、燈籠団なのね」

（この美女2人がコイツのツレだと！？てゆーかこの二人も暴牛の一員か…）

（アスタの野郎、暴牛のくせに羨ましい…ていうか俺がカマキリに入ることになったのも全部コイツのせいだし！フハー！フハつくぜ！）