「お腹空いたー」
「腹減ったー」
「空いたー」
「腹減ったー誰か飯作ってー」
「うぅ……」
「どうやらこれまでのようだ、ぐっばいカラ松ガール！」

「うるせーーーーーーっ！！」

「本当底辺中の底辺だなこの家は！」

「ねぇチョロ松兄さん、お腹空いたー」
「勝手になんか作れ」

「マミーはどこだ！」
「出かけてんじゃない？」

「えーお腹すいたのに～」
「あっそうだいいこと思いついちゃったよ！」

「今からパチンコ行かない！？逆に！」
「おおー！」

「なるほど！逆にね！」

「逆にパチンコか！」
「逆にやばいよねー！」
「逆にやばいね！」

「あれ？一松兄さんは？」
「行かない」

「なんで？」
「今日はいいや、てか俺が一緒にいたら負けるよ？」
「留守番オネシャス！」

（ん？）

（あ？）

（もしかして一松だけ？）

（コイツだけか、まじか）

（油断してたな。普段はあまりないレアな組み合わせ来ちゃったよ）

（何しゃべっていいかわかんない…別に嫌とかじゃない。なんというか気まづくなっちゃうこの感じ…）
（これって、あのパターンだ）

（みんなといるときはバカ騒ぎできるのに）

（二人っきりになると急に「こいつと二人っきり！？みんなと居れば平気だけど二人はちょっときつい！何しゃべっていいか分かんない！話題は？共通点は？あと何駅あるっけ？？」っていうあのパターンか）

（兄弟なのに…いや逆か。兄弟だからこそ余計際立つこの）
（変な感じ……）

（（だめだ、内容が全然頭に入ってこない！！））

「どうしよっかね」
「どうしよう」
「あ、誤解がある。実は僕、資格なんてどうでもよくて」
「え？」

「本当はアイドルさんのマネージャーになりたいんだよね。できるだけ近くにいてなにかどうにかなってお付き合いが始まることに期待したい」

「クソ童貞野郎だな」
「そうだよ？安心した？」
「安心した」

「じゃあ俺は…さっきみたいなの持ってるけど　実はハロウィン用のグッズなんだよね」
「え？」
「渋谷とかは流石に行けないけど、家の中でやってみよっかなって」

「えぇ？お前ハロウィンとか興味あんの？ふつーの若者だな！」
「ドメスティックパリピなんだよ」
「なにそのクソダサい肩書き」

「安心した？」
「安心した」

「ああじゃあ、後僕はアイドルさんにオムライスにケチャップで好き♡って書いて欲しい」

「インスタとか言う奴で仲間とか言う奴たちとわちゃわちゃしたい」

「楽曲に興味あるとか嘘。エロい目で見てるよ」

「スマホで素敵な出会いを」

「俺優しいから」
「俺のほうが優しいから」

「ははっお前きついな～！」
「お前もな」

「「あはははははは！！」」

ハッ

「ぶっちゃけすぎたね」
「程度ってもんがあったね…」

「みなさんこんにちは！」
「本物だ！」
「サインください！」
「カモン昭栄！」

（なにやってんだよ6つ子！私の昭栄さんに迷惑かけないでよ！！）

「おおい！本番前だから勘弁してくれよバーロー！」
「え～？」

「サイン、書くよ？」
「え、昭栄さん！」

「お客さんも番組の一部です！俺にとっちゃ大切な仲間！いや、血を分けた家族だ！それが、昭栄で～す！」

「しょ～ええ～～」

（優しい！アツい！サイン書いてあげるんだ！でももう本番が始まるのに！）

「ほいほい、ほい、はい」
「サンキュー」
「ねぇねぇ、なんか私物も頂戴よ昭栄！」
「私物ちょーだい！」
「その時計とか」

（おい6つ子！いい加減に！！）

「おめぇらいい加減に」
「いいよ？あげるよ！」

「昭栄さん！」

「俺のものはみんなのものです！そしてみんな幸せに！」

「それが昭栄で～す！」

「しょ～え～！」

「いや優しすぎ！あともう本番が始まる！」

「俺たちさ、実はまだニートなんだよね」
「ええ、そうなの？」
「努力はしてるけどーなかなか仕事が決まんないの」
「そっかー」
「しかもまだ童貞なの」
「えぇーっ！」
「もう人生嫌になっちゃって」
「そうか…」

（なにいってんの六つ子！自分たちがかわいそうみたいな言い方して！！昭栄さん信じちゃダメよ！そいつら努力なんて一個もしてないから！！）

「うわあぁぁ～～！そっか～！君たち大変なんだなぁ！」
（泣いちゃった！！まだ大食い始まってないのに泣いちゃった！）

「ニートで童貞、でもまだ負けるなよ！おれ応援してる！」
「昭栄～～！！」

「あのぉ、そろそろ本番…」
「あ、ごめんなさい！！」

（ついに来たこの時が！私の意地とプライドをかけた絶対に負けられない戦い、そう）

（爆食い女王決定戦！！）

（大丈夫！絶対に勝てるはず！だってあんなに練習も、願掛けもしたんだもん！）

（確かに周りはブスな庶民だらけ…あ、間違えた。強豪だらけ。でも勝つのは私。お父さんもお母さんも応援してくれてるし）

「トト子ー」
「出し切るのよー！」

（それにあいつらも来てくれてるし）
「トト子ちゃん！」
「応援に来たぜハニー」
「がんばれー」
「超絶可愛いよー」

（そしてなにより、私にはあの昭栄さんが付いてる！）

「MCの昭栄さんだじょーー」

「みなさんどうも、私が昭栄で～す！」
「きゃ～！昭栄さ～ん！」

「ははは！愛と情熱をもって皆さんと一緒に日本一の…」

「いや世界一の番組を作ります！昭栄で～す！」

「ショエ～～！」

「素敵な昭栄さん！アツい！よし、トト子だって昭栄さんにまけないぞ！ぜんぶ食べるぞ！」