「ええ！！神楽ちゃんとダイ王子が！？知らなかった、あの二人ってそんな関係だったんですね！なんだか妬けちゃうな～神楽ちゃん取られちゃった」

「ほんとに焼けちゃいますよ？」
「四の五の言ってねぇであいつらの遊び場教えねーと」
「城、焼けちゃいますよ？」

「ちょっと！姫様関係ないでしょ！姫様なんも悪くないでしょ！」

「でも神楽にあいつ紹介したの姫様なんですよね？あんたらどこで遊んでたんすか？どこのラブホ街すか？どこの体育館裏倉庫ですか？どこの乱交パーティ会場ですか？」
「私たちそんなところで遊んでません！」

「いつもは河川敷か公園ですけど」

「あああの！もういないかもしれないんですけど！！」
「行っちゃったよ」

「まぁまぁ落ち着いてよみんな」

「神楽ちゃんを連れて行くとか置いといて、君はそういう紳士な気持ちで交際つもりでいるってことと捉えておくよ。それでいいよね」

「いいわけねーだろ！！」

「テメェみたいな腐れメガネは黙ってろ許されるわけねーだろこの歳で婚約なんて！」
「青臭い理想論だけ語りやがって愛なんて幻想なんだよホントの愛はその幻想が覚めてから始まるんだよクソガキが！！」

「僕じゃなくて彼らに言えばいいでしょーが！」

「てめぇが大人になれっつーからこっとも大人しくしてんだろーが！」

「大人だからこそ言うべきことはきっちり言ってくださいよ！」
「なんなんだよ大人ってなんなんだよ！もうよく分っかんねーよ！！！」

「気色が悪い？結構だよ。彼女を独り占めしたい彼氏の独占欲、種の独占欲、男はみんな気色悪いもんさ。だがその程度で娘を誰にも渡したくないというお父さんの気色悪さに勝てると思うな！」

「ひぃぃぃぃ!!!」

「よぉ、彼氏。見直したぜ、まさか地球を滅亡させてまで神楽をぶん取っていく覚悟がお前にあったとは」

「人様が大切に育てた娘を頂戴するんだ、星ひとつ攫うくらいの気概は必要だわな」

「ああ、貰う方もやる方もな」

「お前たち、娘一人のために俺たちと星のつぶしあいをするつもりか！？」
「まさか、そんな小汚ねぇガキ一人のために大の大人がそんなことするかよ」
「連れて行けばいい、ただし」

「お辞儀のひとつぐらいできるようになったらなァ！！」

「ようやく大人らしいこと言えたな」
「ああ、これで俺たちも立派な大人だな」
「…あ」

「神楽いたの忘れてた」

「ちょっとちょっと！何このでかい手紙は！」
「国に帰ったダイちゃんからの手紙アル。お前らも読んどいたほうがいいネ」

「あの王子から！？大丈夫？宣戦布告とかしてきてない？また神楽ちゃんを取り返しに来るとかだったらどうしよう」

「新八、今すぐ返信しろ！」
「ふつつかな娘ですがよろしく」

「えー…”地球に滞在中はいろいろお世話になりました”」

「”僕も異文化に触れ、家族の大切さ、とりわけお父さんの偉大さを身にしみて知る機会を得、大変勉強になりました”」

「えっ、ちょっと別人みたいに改心してるけど」
「こいつ手紙の時だけはいつも殊勝だからな」
「”次に彼女ができたときは古き悪習にとらわれず、その家族も大切にしたいと思います、とりわけお父さんは大切に、決してお父さんにだけは逆らわないようにします”」

「――なんか完全にお父さんトラウマになっちゃってますけど」

「まぁいろいろあったがよかったじゃねーか。一歩成長したってことさ。あのデカブツどもの星もこれで少しはマシになるだろ」

「そうでもないみたいよ」
「え？」

《P.S.最近気になるすごい遺伝子を見つけました…やっぱり、お父さんってすごいね》

「あの…マシになるどころかこのままいったら星滅びそうなんですけど」
「これはお前のせいだろ。神父にあんな事するから目覚めちゃったんだろ」
「人のせいにしないでくださいよ！アンタラがやりすぎるから」
「それはお父さんに言えよ、俺お父さんじゃないから！」
「何言ってんだ！俺だってまだまだお兄さんだよ！」
「お兄さんじゃねーだろ毛髪退散だろ！」
「退散してねぇ！進撃の毛人だ！」
「お兄さんどこ行った」

「ぎゃあああ！！いたいけな少女の純潔が！巨大な唇によって奪われようとしているぅぅ！！」

「神楽！これでお前の逞しい遺伝子は俺のものだ！お前はタダ、俺だけを見つめていればいい」

「うわぁぁぁ」

「ちょっと待ったぁーーー！！！」

「ちょっと待って神父！ダメだって！俺にはそんな趣味ないから！神父！！！」

「ダイくん、悪いけど君に神楽ちゃんを渡すわけにはいかない」

「君に神楽ちゃんの彼氏を名乗る資格はない」

「お前！神聖な婚礼を！俺のファーストキスを！何汚してくれてんだ！！」
「残念だよ、君は神楽ちゃんを独り占めしたいがためにその気持ちを踏みにじり、大切なものまで奪おうとした」
「てめぇは関係ねーだろ引っ込んでろ！」

「君に分かるか！？」

「可愛がって育てた娘をどこの骨とも知れない男に奪われそれでも娘のために彼氏を笑って迎えようとした禿げたお父さんの気持ちが！」

「君に分かるか！ずっと大切に見守り続けてきた人を手放し彼女が選んだ男ならと信じ、その剣すら預けようとした白髪のお父さんの気持ちが！！」

「お前に分かるか！ホントは寂しくてしょうがないけど神楽ちゃんのためならと、涙を飲んでツッコミ役に回ったお父さんのメガネの気持ちが！！！」